2013年5月31日金曜日

次はAndropogonの発表

本日、無事にTICADⅤ公式イベントが終わった。3人のフィールドの経験をすべて受動態で語った。「ダマされる」、「励まされる」、「助けられる」。三段落ちみたいなタイトルだけど、「開発」という行為以前に人と人がつながるには、片務的な関係はあり得ない、ということ。こういう一方通行な行為に見えることだから、微力ながらそこにくさびを打とうと、こういう目論見。

そして次。

再来週はAndropogonの発表。Andropogonというのは、イネ科の多年草で、乾燥地に広く分類している。いわば雑草なのだが、サヘルでは家や扉の材として有用種。これを水食防止に活用しようとしている。一方で、こうした開発でもちこまれた在来の資材と知識の組み合わせ、いわば、適正技術の受容がいかに起こるか、このことを実証的に検討していくのがこの発表の目的。

なんでいきなり農学だか開発学だかみたいなことを言い出すのかと言えば、現在の職にいられるのはこれがあるからなのだけど、実は意外に楽しんでやっている。この発表はベルギーでやるのだけど、明日がパワーポイントの締め切り。

そんなわけで、横浜のホテルで缶詰めになっている。今日はピーカンで、桜木町の海沿いが気持ちよさそうだった。たまに散歩でもしながら追い込むか…

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2013年5月30日木曜日

横浜

もう15年も経つんだな、なんて感じてしまう。ずいぶん土地勘も失って、迷いまくりでみっともない。

横浜は大学生時代を過ごした街で、初めて親元から離れたり、今の道に導いてくれた恩師と出会った場所であり、自分がちょっと真面目に人生のことを考え始めたりした場所。それなりに思い入れがあって、当時の友達とも縁遠くなってしまったな、とか、いろいろなところに思いを馳せてしまう。

住み始めたのが1995年で、サリン事件があったり、阪神淡路大震災があったり、大学に入るとNGOの話題でもちきりだったり、1998年の就職活動の時はいわゆる氷河期の前の年で、みんなずいぶん大変な思いをしていた。それなりに大変な時代の中を割と楽しくやらしてもらった。

少しセピア色の思い出ばかりで、当時よりもさらにきれいになった横浜はなんか眩しい。昔馴染みのお店にでも顔を出してみようかと思ってみたりするけど、ちょっと気恥ずかしかったりで、どうもそんなつもりにもならない。

いい時代だったけど、もうそこに戻るわけでも戻りたいわけでもない。ほんの少しの滞在だけど、今の自分と横浜を楽しむとしましょう。

2013年5月27日月曜日

学会が終わるとホッとするけど、なぜか凹みもすること。

週末にアフリカ学会が開催された。

今回はここ2年ほどかかわっている「アフリカ子ども学」のセッションを組んだ。竹ノ下祐二代表の元、亀井伸孝先生、阿毛香絵さんのインド発表組に澤村信英先生をコメンテーターに迎えてのプレゼンテーションを行った。

テーマはアフリカの「伝統」教育に重点を置き、子ども研究における学校、教育の位置づけを検討した。

亀井先生は博士論文で論じたカメルーンの狩猟採集民、バカの15年後との比較、阿毛さんはセネガルのコーラン学校と子どもの生活、清水はニジェールをフィールドとしたコーラン学校と小学校の比較を試みた。本当は12分でまとめねばならなかったが、みんな16分ほど話してしまった…コメンテーターをお願いした澤村先生の時間をずいぶん食ってしまい、結局フロアとのディスカッションにほとんど時間が回せなかった。

100人近いオーディエンスを得て、大変心強かった。もしどなたか見に来ていただけていたらこの場にてお礼申し上げます。

大仕事が一つ終わり、まあ、思っていたくらいのことはできてホッとはする。でも、そんなに気持ちは晴れ晴れもしていなくて、そこここでお会いする方々にさんざんプレッシャーをかけられ、発表が終わった程度の「ホッ」は雲散霧消する。でも、学会などそのようなところだろうから、それはそれで学会に来た甲斐があるというもの。

ちなみに、今年はこのアフリカ学会で学会参加は一区切り。とりあえず目の前にあるTICADをなんとかしましょう。

2013年5月24日金曜日

再度。TICADⅤ公式サイドイベント

石山氏の奮闘により、すばらしいポスター完成。今朝から明後日のアフリカ学会の発表そっちのけで広報活動開始!

500人の会場にてサクラ歓迎。昼寝歓迎。でも頑張って準備します~。

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2013年5月23日木曜日

考え中…

今週火曜日から発表ウィークスです。2週間で4本、1本は火曜日に終わったので残り3本。だんだん大きなやつになっていく。日々、それらの準備に追われている。

でも何とかやっと再開したブログを続けるべく、どうでもいいことをこうして書いているのだけど、なんでこんなことを続けているのか、ということは時々考えさせられる。ブログなんて明らかに自慰行為だし、自己顕示欲の露出偏向の一つ。なんでこういう自己嫌悪となんで闘わんといかんのか?

FBをゆっくり目にして、ブログ再帰したのは、やっぱりタイムラインという見なきゃいけない強迫観念、「いいね」を誰につけ、誰に付けないかというポリティクス、こんなのにホトホトしんどくなったからで、もっと言えば、なんか独特の人間関係が作られていくのが煩わしくなったから。確かに、FBのおかげで20年消息を絶っていた中高の友人たちと再会を果たせたのはポジティブな意味での関係性の再発掘で、これには感謝する以外のなんでもない。まだまだFBにはこんな意味で実がありそうなので、完全にやめてしまうことは難しい。それと大事なのは、情報の拡散効果。普段「いいね」をつけない人が、いいニュースを流すと数百人の人が「いいね」を付けてくれて、かなりの人が潜在的には見ていることがわかる。

そうすると、自己撞着的になりやすいブログを外に開き、広告効果を狙えば、少なくとも自慰的ではなくなる(はず)。自慰は自慰で面白くかける才能があれば、それでいいのだけど、どうも僕にはそれは備え付けられていないようなので、外に開く方向を考える。外に開くためには、ブログの存在をどこぞに載せないといけないのだけど、どうもFBに載せる勇気もない。どこかでFBとブログの世界を切り離しておきたい、と思ってしまう。で、もう少しオフィシャルなものにしようか、と思い、職場の経歴に書いてみるのも、と思うのだけど、「赤提灯」とかあんまりおもしろくない悪ふざけなタイトルでは…とか。

このくそ忙しい時期にこんな無駄なことを考えていた軌跡を書き留めておくことで、あとでさらなる自己嫌悪に陥るか、新たなアイディアが浮かぶか。まあ、どうでもいい自己撞着的な記事になってしまった。まあ、もう少し考えてみよう。

2013年5月20日月曜日

「アフリカの子ども学」分科会@日本アフリカ学会第50回学術大会

立て続けですが、アフリカ学会での発表の案内です。

昨年インドの学会で分科会を組んで味を占めてアフリカ学会でもやります。親方は竹ノ下祐二先生、コメンテーターは澤村信英先生、発表者は亀井伸孝先生+阿毛香絵さん+清水の3名。本日資料締切で、先ほど仮のものを提出…しかしまだまだブラッシュアップが必要。ということで、これからもうひと踏ん張り!


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◆日時:5月25日 13:30~14:30
◆場所:東京大学駒場キャンパス、D会場

【プログラム】
趣旨説明:竹ノ下祐二+清水貴夫
報告
①亀井伸孝「狩猟採集民バカの子どもにおける学校教育と生活の現在-1990年代と比較して-」
②阿毛香絵「セネガルにおける初等教育とコーラン学校-近代化、伝統教育と再イスラーム化のはざまで-」
③清水貴夫「ザルマ社会(ニジェール共和国)におけるクルアーン学校-ファカラ地方の広域調査から-」
コメントと討論:澤村信英(コメンテーター)

◆参考
日本アフリカ学会学術大会(@東京大学)

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こんな感じです。

TICADⅤ公式サイドイベント 「アフリカの将来を語り合う-フィールドワーカーが見た等身大の日常から-」(地球研主催)

イベントのご案内。

TICADⅤが目前に迫ってきました。色々なところでイベントが多くなってきましたが、私たちもシンポジウムを組みました。他のところは偉い人を呼んでいて、少々尻込みしましたが、その分、気楽に参加者と議論したいと思います。
 
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講演タイトル】
「アフリカの将来を語り合う-フィールドワーカーが見た等身大の日常から-

【講演概要】
このシンポジウムでは、長年アフリカでフィールドワークをしてきた研究者の日常的な経験をもとにフロアの参加者とともにアフリカの将来やアフリカの人々と私たちの関わりについて草の根レベルで語り合っています。

【プログラム】(仮)

10:00-10:05 趣旨説明
10:05-10:20 清水貴夫 「ダマされる-研究者の裏をかくストリート・チルドレンの知恵」
10:20-10:35 佐々木夕子 「泣かされる-意表を突かれた村のお母さんの言葉-
10:35-10:50 石山俊 「助けられる-素顔のコミュニケーション-
10:50-11:00 箱山富美子(元UNICEF・ILO職員、元藤女子大学教授)
11:00-11:30 フロアとの対話(モデレーター:箱山富美子)

日時:531日 10:3011:30
場所:パシフィコ横浜アネックスホール A会場
参加費:無料
入場:自由
主催:総合地球環境学研究所
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大学院生と「労働」②:僕がかかわった仕事

この話の2話目。1話目、読み直したら文体バラバラで読みにくいですね。失礼しました。ここで「ですます」調は止めます。

さて、院生の間に僕がかかわった仕事(バイト)について。3話目で終わろうと思うが、その前振りとして、一部実名は伏せて書いてみようと思う。

最初に、名古屋に移り住んできたときに、塾の講師やら、院生がやりそうなバイトには一通り応募して、それぞれいいところまでは行った。多くが最終面接まで到達して、条件が悪すぎたりして最終的にお断りしたのだけど、興味深かったのは「教室長」待遇がいくつかあったこと。どういうつもりかわからないけど、複数こんなオファーがあった。当然社員待遇だけど、さすがにわざわざ研究しようとして名古屋まで来たので、こちらもごめんなさいをした。

そもそもそんなにガッツリとバイトをするつもりもなかったので、奨学金を1種、2種ともに申し込んでいた。修士のころが計13万くらいだった。これに、最初の2年間はNGOの仕事をして、これが定額5万、あと、その前の年まで1年くらいやっていた東京の居酒屋のバイトをやっていた。ホームは東京で、なんやかんやと東京に帰った時や休みの時に東京で居酒屋のバイトを続けた。おそらく修士のころの実入りは20万強、と言ったところか。生活はずいぶん質素になっていたから、まあ、そんなにしんどくはなかった。

その翌年に博士課程に進学するのだけど、つらかったのは1年目。とりあえず、奨学金の1種はもらっていたし、バイトも東京の居酒屋を引き続きやっていたけど、調査やらが結構忙しくて、それどころではなかった。学振もDC1は落ちて、修士のころの生活をさらに切り詰めた。若竹荘という、大学近くの家賃2万台のアパートに移ったのもこのころ。

しかし、博士課程2年目でDC2をいただけた。なので、ここから2年間は特に問題なし。調査にも行ったし、平穏な2年間だった。
そして、問題はここから。

学振が終わって、博論が書けて、どこかに就職…なんて話はほとんどないわけで、特に優秀でもない僕は放り出される格好になったのだけど、ちょうど役員をやっていたNGOのスタッフのオファーが来た。NGOとしては超好待遇で、週の半分を東京、半分を名古屋という生活をしばらく続けたけど、こんな生活、落ち着くわけもなく、NGOにはごめんなさいをした。本当に申し訳なかった。

すると、いよいよ収入のあてがなくなったのだけど、とりあえず、助成金がとれていたので、調査に行くことになった。捨てる神あれば拾う神あり、とはよく言ったもので、この調査の時に新たに財団の口が見つかった。この仕事では月平均11万くらいだったと思う。益々切り詰めないと行けなかったけど、実はこの辺で結婚なぞしてしまう。共働きになったので、生活自体はメチャクチャしんどいわけではなかったけど、外食をかなり減らしたし、午前中家で作業をして、お昼を家で食べてから研究室に行くという日常だった。

院生時代の仕事遍歴はこんなところ。ほかに小さい仕事としては、大学院のティーチングアシスタントは割とコンスタントにもらえていたし、JICAの講師をやりはじめたのは博士課程に入って間もなくのこと。一応、最初に考えていた通り、コンビニとか塾とかで時間をロスすることはあまりなかった。

次はこの最後の財団の仕事の契約が終わった後の「失業保険」を巡って大学院生と失業保険、「労働」の問題を考えてみたいと思う。

2013年5月19日日曜日

大学院生と「労働」①:僕の場合


突然こんなことを書いてみようと思ったのは、知人から、僕が院生生活が終わる頃に遭遇した失業保険の経験を書き残しておいた方がよい、と勧められたからです。今の職場に移ってくる前のことですが、パートタイムで勤めていた財団を辞めた後に、相当揉めたのですが、何とか失業保険を頂けて助かったわけです。結局引っ越し代なんかもそこから出たし、幸い、カードのキャッシングに多少手を出した程度ですんだ。

最近時々報道もされているように、近年の大学生、大学院生を取り巻く環境は厳しい。うちも夫婦でものすごい額の奨学金の返済があり、つくづくしんどい。日本学生支援機構(元育英会)の取り立てのことや、仕送りが減少していることによる生活難。確かにアジア諸国からの留学生や欧米の学生の生活と比べれば、これくらいが標準なのかもしれないが、いずれにしても日本の物価や生活水準を考えると、かなり大変な生活になっている。


このグラフを見ると、月の収入は大方20万以下。企業の初任給が20万弱だとすると、15万円くらいあれば、苦しくない学生生活が送れそうだけど、支出の方に、以前は親が負担してくれていた学費がどうなっているか、によって大きく変わってくる。個人的な経験から、私立の文系学部で確か80万前後、国立の文系でも57,8万程度が年額でかかる。前者で月割りにすると、7万前後、後者でも5万弱はかかることになるから、15万程度では、生活ができなくなるレベルに落ち込みそうだ。

僕は95年から99年にかけて大学生だったけど、多いときでバイトを3つかけもっていた。大学4年生の夏に父を亡くしたのだけど、それ以前までは10万の仕送りにバイト代が多いときで25万くらいあったので、それはそれはバブリーな生活をしていた。僕の場合は体力的アドバンテージがあったので多少特別な例としても、塾の時給が2500円を超えていたことがあったので、今の塾講師の倍くらいもらっていたのではないだろうか?さすがに生の情報ではないので、今どんなバイトをしているのか、とかはよく若ならないけど、大学生が得ることができる賃金も低下しているような気がしている。

これは、後に進学した2005年にバイトを探していた時に痛感することになった。東京から名古屋(地方都市)に引っ越したこともあったが、時給1,500円を超えるものがほとんどなくて往生した。時折あるのは、むしろ「うちに就職しないか?」というお誘いで、さすがにこれには閉口した。結果、僕はあまりの費用対効果の悪さから、普通のバイトをすることを放棄したのだけど、その代わりに生活レベルを落とすこと(これは必ずしも苦痛を伴わなかったけど)、ほかの方法を考えざるを得なかった。そうしないと、最低限の本が買えなかったし、せっかく仕事を辞めてやり直しを始めた生活があまりにも惨めになってしまうと思ったのである。

どこかで誰かの参考になるかもしれないと思って書き始めてみた。僕の問題意識としては、大学生とか院生はもっとおカネからフリーな立場で生活すべきだと思うし、たとえば、昨今の博士課程の院生の減少は、どうしてもこのあたりがネックになっているように思ったから。このシリーズは最終的に「失業保険」を頂いたところに到達しようと思っているのだが、法的な解釈は僕の力を大きく超えてしまうものの、僕の取った戦術は何かの役に立つのではないかと思っている。次は院生時代の収入について書いてみたいと思っている。




2013年5月17日金曜日

『イスラームの世界観 「移動文化」を考える』 片倉もとこ 岩波現代文庫


去る2013年2月23日、片倉もとこ先生がご逝去されました。

勉強不足をさらすようで恥ずかしいのですが、この方の本もほとんど読んだことがなくて、先生のご逝去をきっかけに少しずつ読み進めています。アマゾンで頼んで最初に来た本がこの本だったので、読みましたが、なぜ今まで読まなかったのか…という後悔の念にかられました。

人はなぜ移動するのか?

僕はここしばらくストリート・チルドレンのことを研究してきているのですが、ある意味、究極的な問いはここにあります。遊牧民の宗教としてのイスラーム。これが根底にあるのはなんとなくわかりつつ、どうも言葉にならないことが多いし、アフリカの人といても、大局的な移動観にまではまったく到達しませんでした。この本では、ずいぶんたくさんの言葉を紡いでイスラームにとどまらない、人類史的な意味で、人はそもそも移動するものだ、という命題をもっているように読めました。

さらに伊勢神宮の遷宮を端緒に、現代日本社会をこのように説きます。

「日本の終身雇用システムは、それなりにいいところもあった。しかし、雇用する方も、されるようも、しばられてしまう、しんどいシステムである。人間を、一か所にとどめておく「定着文化」はさまざまなところでいきづまっている。生理的な「うごき」を持つがゆえに、女性は職場から締めだされ、男性は悪名高き「会社人間」にしたてあげられた。ここらで、日本の「定着文化」を「移動文化」に移行させねばならない気がしている。」(192)

近代社会は資本集約的であって、ゆえに人々が定住していることが前提。さらに、権力はその管理のしやすさから人々が定住していることを好みます。しかし、片倉先生がおっしゃる通り、定住文化の爛熟した日本では、このレベルの見直しが必要だ、ということ。

近年、非正規雇用が問題になっていて、かくいう僕もそのカテゴリーに入っているのだけど、そもそも個人商店的な研究者にとっては、まさにこんな文化の中に存在しているのだ、ということを改めて感じさせられました。

2013年5月16日木曜日

【学校と地域社会のより良い連携を目指して―日本と西アフリカの対話―】行ってきました。

結局12時過ぎの帰宅。さすがに日帰りはしんどいっす。

さてさて、シンポジウム、行ってきました。「みんなの学校」の関連だったんですね。3名のアフリカの高官たちに自由に話してもらいたかったですが、ホスト側への配慮があったのか、少々歯切れが悪かった、と感じたのはもしかすると僕だけで、全般的な感想は「率直で活発な議論」という評価…

人類学というのはどうも人を皮肉っぽくさせるようで、確かに、この10年続いた「近代」教育を普及させるプロジェクトは評価できるのですが、このプロジェクトにより変容する何かに対してどう考えているんだろう…そんな印象を受けました。

どんなことかと言えば、確かに、今、学校を作ることに表だって反対する人は少ないと思います。不可逆的な「近代化」や貨幣経済の波はアフリカの村にいても肌で感じるので、今更古典的な伝統主義者のように、近代的な教育に反対するものではありません。ですが、「住民参加」とか「住民目線」という言葉と、たとえばこの地域におけるイスラーム文化など、ローカルな文脈への関心の薄さには違和感を覚えました。

開発援助は、やはり「政治」なので、タブーとか聖域のようなものがあって、昨日の話題において、イスラームの「イ」の字も出てこないのは、その表れだろうと思います。本当に意地悪だな、と思いつつ、「フランコ・アラブといった、近代的な教育と伝統的教育を折衷しようとした動きに支援する可能性はないのか?」という質問をしました。質問をしておいて、申し訳ないですが、何をお答えになったのか、よくわかりませんでした。たぶん、特定の宗教的営為には援助できませんとか、そういうことだったでしょうか。

現地を調査していると、各村にあるクルアーン学校やフランコ・アラブ、マドラッサと言った「伝統的」教育システムが嫌でも目に付きます。寺小屋のようなクルアーン学校、よりフォーマルなマドラッサ、近代教育とイスラーム教育を折衷したフランコ・アラブ、近代化の流れに自ら適応しようとするこれらの学校システムの変容は、まさに西アフリカで教育開発に携わる方にも注目していただきたい動きなのですよね…

2013年5月15日水曜日

【学校と地域社会のより良い連携を目指して―日本と西アフリカの対話―】

TICADは最初からほとんどかかわったことがないのですが、こんな催しがあるのもTICADのおかげ。ブルキナファソ、ニジェール、セネガルと自分の調査地の教育省の方のお話を聞けるのは、アフリカでやったら数か月の仕事になってしまいます。まあ、さすがにこのクラスまではたどり着けないでしょうし。開催してくれるICUとJICAのスタッフに感謝を敬意を表したいと思います。
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国際シンポジウムのお知らせ
【学校と地域社会のより良い連携を目指して―日本と西アフリカの対話―】

 国際基督教大学教育研究所は、国際協力機構との共催、三鷹市教育委員会後援
の下、学校と地域社会の連携に関する国際シンポジウムを開催します。
 現在、国際教育開発の分野では、教育の分権化と住民参加型学校運営が注目を
集めています。本シンポジウムでは、日本と西アフリカにおいて、地域住民がど
の様に学校運営に参加し、何が改善されているのか、今後の学校と地域住民との
関係はどのようであるべきか、という点について対話形式で各国の状況を共有し
ながら理解を深めていきます。そして、各国の状況を比較対比しながら、各地域
住民による学校運営の今後の課題と取り組みについて議論していくことを狙いと
します。
 参加申し込みは不要です。詳細は以下を参照の上、ふるってご参加下さい。

日時:5月15日(水)16:00~18:00(15:30開場)

会場:国際基督教大学 東ヶ崎潔記念ダイアログハウス2階 国際会議場
http://www.icu.ac.jp/info/facilities.html

プログラム:

16:00~16:05 開会の辞 
        国際基督教大学 学長 日比谷 潤子

16:05~16:30 みんなの学校プロジェクト概要説明
        国際協力機構コンサルタント・元ニジェール国みんなの学校プロジェクト
        チーフアドバイザー 原 雅裕

16:30~17:10 パネルディスカッション
         パネリスト: 貝ノ瀬滋 三鷹市教育委員長

                グァバガ ウィンソン エマニュエル 
                ブルキナファソ国民教育・識字省 事務次官

                リー ババウセイヌ 
                セネガル共和国国民教育省事務次官

                ムサ ムムニ 
                ニジェール共和国国民教育・識字・国語推進省就学総局長

                原 雅裕 国際協力機構コンサルタント

         司会:    西村 幹子 国際基督教大学上級准教授  

17:10~17:50 質疑応答

17:50~18:00 閉会の辞
        萱嶋信子 国際協力機構人間開発部部長

主催:国際基督教大学、国際協力機構

後援:三鷹市教育委員会

言語:日本語およびフランス語(日⇔仏の同時通訳がつきます)

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2013年5月14日火曜日

201306-07ニジェール調査→フランス・ベルギー学会発表→ブルキナファソ調査

次の出張予定です。

こんなこと言ってはいけませんが、僕は農学者でも環境学者でもないのに、今度の渡航で国際学会デビューです。真ん中のベルギーのところなんですが。まだ原稿がほとんどできていなくて、かなり焦ってます。

でもフランス国会図書館に久しぶりに行けるし(今回は年間パスをいただく予定)、少しは堪能できるでしょうか。

ニジェールではアンドロポゴンの調査を少し、ブルキナファソでは「ストリート・チルドレン」の調査とその次の調査の打ち合わせをしてきます。

「ストリート・チルドレン」の次の調査と、まだ今回の調査もしていないのにこんなことを言うのは、こんな理由です。これまでいろいろと資料にあたってきているのですが、実は「ストリート・チルドレン」が何人いるのかよくわかっていません。以前単発で調査が行われてはいるのですが、すべてが母数が違ったり、基準が違っていて、果たして「ストリート・チルドレン」が増えているのか、減っているのかが分からないのです。

これで良いわけはなくて、少なくとも統計資料は作りたいな、と思っています。もちろん、この調査を通してインタビューや出自調査も行うことになりますが、いずれにしても今までの調査で一番貢献度の高いものになると思います。ブルキナファソで「ストリート・チルドレン」の支援活動を展開してきたNGOが、どんな現状認識の元で活動してきたのか、というところは反省しておかねばならないところですが、せっかくの気持ち、より有効にやってもらいたいので、できれば役所の方ともコンタクトを取りながら進めていきたいと思います。しかし、限られた予算。むしり取られないように守りながらも、いい調査になるといいのですが。

昨年の10月のニジェール-インドも濃密でしたが、今回もたっぷりな内容の調査行になりそうです。

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2013年5月13日月曜日

ぼちぼち普通の生活に。

3月3日に自転車でコケて右手薬指の腱を切ってから約2か月半…2週に一度の病院通いを続けました。今日はその日。全治6週間から8週間と言われていたのですが、いよいよ終盤に差し掛かった4月末にコルセットが外れて振り出しに戻ってしまった関係で、今日が検査日でした。

検査、つまり、コルセットを外して指がまっすぐになるか、というやつなんですが、これでくっついていなければ手術でくっつけると言われていたので、かなり緊張の一瞬でしたが、なんとか自立。お医者さんからは、コルセットを取っても気を付けて…といわれて一安心。でもなぜコルセットを付けているかというと、どこかにぶつけたらまたすぐに元に戻ってしまうとのことで、安全を考えてもう少しつけておくことに。

いやはや、長かった…

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2013年5月12日日曜日

澤地久枝『家計簿の中の昭和』


3月のある日、調査から帰って一乗寺のあたりをブラブラ。「そういえば最近恵文社に行ってなかったな…」と思って立ち寄った時に買った本。

家計簿から昭和史/自分史を語る、という、なんともうらやましい発想力の元で書かれている。物書きの頭の柔らかさ、というのは、こういうところに出てくるのだろう。

あまりマークしていなかった作家だけど、アマゾンをパラパラ見ていると、もっと早く出会いたかったな、と思わせる作品が多い。今度の調査のお供に何冊か買ってみようかな…春樹の新刊はもうちょっと取っておくこととして。



2013年5月8日水曜日

「したがって」考:『ケニアの教育と開発 アフリカ教育研究のダイナミズム』途中評

4月に京都女子大で行われた「アフリカ教育研究フォーラム」で、著者の澤村先生よりご献本いただき、ボチボチと読ませていただいています。

「人類学者には物足りない記述かもしれませんが…」

などとご謙遜されていましたが、厚い記述がなされており、堪能させていただいています。実はまだ読み切っていないので、「評」にするかどうか考えましたが、備忘録的な「評」の前段階というか、課程ということでその一部とさせていただこうと思います。

澤村先生のご編書、何冊か拝見していますが、かなりの部分を(おそらく)澤村先生のお弟子さんに書かせています。これはとても特徴的で、正直なところ、教育をご専門とされているだけに、うらやましい環境を作られています。修士課程の段階で本が一冊残る…なかなかないですよね。実際に何人かお弟子さんにもお会いしましたが、とても一生懸命励まれている方が多くて、きっといい研究室なのだろうな、と思わせます。

一概に異分野の出来事で済ませてしまうのはよくないだろう、とは思うのですが、気になる部分の一つをメモ程度に。

この本も多くの部分で通底するのですが、僕が「近代」教育とわざわざ「近代」を付ける教育に対してどんなふうに考えているのか、ということが実はここまで(半分くらい)であんまり書かれていないなーって思ってます。「第4章 近代教育形成における伝統文化の位置づけ ポストコロニアル時代の批判的検討」の切り口はとても面白くて、まさに近代批判を展開されるのかと思ったら、「伝統主義」批判に行ってしまってちょっと残念。僕としては、なんですが、これを裏付ける事例の一つもあればよかったと思います。が、逆に筆者の志向の方向性みたいなものが明らかになったので、妙に主張はわかりやすいので、それはそれでよい、ということだと思います。

この志向性の違いみたいなのが、モロに出ているのが次の章。

「彼女は、12人の兄弟姉妹(男9人、女3人)の末っ子として育ち、今は小学校でボランティア教師として働いている。彼女の兄たちは、父親の反対で中等学校へ進学できなかった。したがって兄たちの職業は農夫やマタツ(乗合ワゴンバス)の運転手であり、それ以外の選択の余地もなかったという。」(伊藤2013:111)

後半に出てくる事例なのですが、僕にはどうしても前の文章と次の文章を“まだ”「したがって」では結べません。「したがって」を挟む前後の文章の因果関係は、もしかすると程度の問題かもしれないのだけど、学校に行かなかったからいい仕事に就けなかった、というのは教育にいろんなものを背負わせすぎだな、という感じがしてなりません。

まだ途中なので、もう一度改めるとして。






『モンスター』百田尚樹

最近、映画化が決まったこの作品。僕が読んだ百田尚樹は2冊目。最初に読んだのは『永遠の0』。とても硬派な内容の小説で、語りを紡いでいくスタイルで、この作品もとても期待していた。

もちろん、期待を裏切られるどころか、とても面白くて、エンジンが掛かってくると一気に読まされる魅力に溢れた小説だった。

劣等感とか、コンプレックスとかいう心性を持たない人はいないらしいけど、きっとこういう感情や感覚が紡がれていくのはとても複雑な経験や体験を経ていて、この作品を読みながら、自分の劣等感やコンプレックスがどうやって紡がれてきたのかをずいぶん考えてしまった。

ブサイクをコンプレックスに持つこの話の主人公は如何に「美しく」なるか、というところに異常なまでの執念を燃やすのだけど、「美しく」なることが幼いころに恋い焦がれた人にもう一度会うためという目的と自分を馬鹿にした人に仕返しをしようとする復讐心と「美しく」なること自体が目的になったり…

男性作家が女性を描いているので、果たして女性が共感できる主人公像なのかがわからないので、女は怖い…というところに落ち着いてしまうのだけど。また読んでみたい作家です。

2013年5月7日火曜日

Facebookとブログと。

ブログを週に2度の更新っていつ以来でしょう?
FacebookにTwitter、僕はやってないですが、最近はLine?あとLinkedINとかいうやつにも入っているし、もっとローカルなSNSにさらにいくつか。SNSの一つ増えたところで今更大したことはないのだけど、時々すごく疲れる。たとえば、メールの返信をくれない相手が嬉々としてFBの更新をしていようもんなら結構落ち込むし、妙に色々チェックできてしまうので、適当にOffにすることも日常生活を送る上では大事だなと。

ブログだってメディアだから、誰かに向けて書いてるわけだけど、反応を期待しなくてもいいし、相互連関的でもないから、まだこっちの方が精神衛生上よしか。

今の職場に赴任して1年が経って、次第に仕事も忙しくなってきて、じっくり論文以外の文章を書くことが少なくなってきた。小説の感想とか、調査で考えたこととか、少しはゆっくりとやるスペースを回復します。

今度は3日坊主にならないように…

2013年5月6日月曜日

比叡山


比叡山の麓に居を構えて1年が過ぎましたが、見上げるばかりで、終ぞ登る機会に恵まれませんでしたが、どこも行かないGWということで、登ってきました。
少々歩いても汗もかかないし、雲母坂から…という妄想もありましたが、今回は初回にてロープウェイで楽しました。人が多かったけど、短いトレッキングもよかったし、初めて訪れる延暦寺もなかなか勉強になった。
本当に京都は見るものに事欠きません。次のお休みはどこに行こうかな…