田中慎弥氏を思う。

ここ数日間、もっとも世間を騒がせているのは、芥川賞を受賞した田中慎弥氏ではないだろうか。石原慎太郎氏との掛け合い、受賞のインタビューなど、ここ数年で記憶にないくらいに盛り上がっている。

さまざまなメディアで報道されているが、日経ビジネスon lineの小田島隆氏の記事(http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20120119/226297/?mlp)は白眉だ。残念ながら田中氏の作品は未読で、名前すら今回知ったくらいなので、田中氏がどのような人物かということを知らなければ、芥川賞とか直木賞受賞作など、ブックオフで安ければ買う程度にしか注目もしてこなかったので、いわゆる文壇のこともよう知らない(一応、文学研究科の院生としては恥ずかしい話だが)。

小田島氏によれば、選考委員は任期はなく、「選考にあたるメンバーが、受賞作の販売元となる企業の差し向けた人間のみで構成されており、賞を得た人間が、その文学賞配給企業御用達の選考委員諸氏に対して麗麗たる感謝の言葉を並べている現状」(小田島氏)なのだとか。なんだ、出来レースだったのか…今まで僕の生活にあまり関係がなかったので、関心がなかったけど、なんかガッカリ感がある。

石原都知事のパフォーマンスに田中慎弥氏の応答、石原氏の再応答、順を追ってみていくと、小田島氏の指摘した、文壇自体の問題は非常にリアリティをもっているように感じる。プロレスのような境界的なエンターテイメントなら、ジャッジが演壇に包摂されていてもいざ知らず、小説はせめてガチであってほしい。たとえ、この騒動が実は石原氏と田中氏が仕組んだパフォーマンスだとしても、個人的にとても楽しめたので、これから生協で田中氏の本を買ってみようと思う。受賞作はしばらくして文庫化されてからにさせてもらおうと思うが。

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