ブルキナファソ調査③201512:大統領選挙その後

11月29日、カファンドゥ暫定政権の政権が満期を迎え、大統領選挙が行われた。先日このブログ(←先日の記事に飛びます)でもお伝えしたように、ロッシュ・カボレ氏が新大統領に選出された。

前評判では、UPC(前進・変化連合Union pour le progrès et le changement)のゼフェリン・ジャブレZéphelin Diabreが優勢かと思われていたが、MPP(人民前進運動Mouvement du peuple pour le progrès)のカボレ氏が大統領選を制した。

なぜカボレ氏だったのか。一般化するには報道の資料も見ていないので、政策的な違いも判らないし、何人かに通りがかりで聞いただけなので、参考までに。

前述のとおり、いくつかの新聞記事やらを見ていたら、どうもジャブレ氏優勢の声が強かったように思う。ジャブレ氏は1959年生まれの66歳。少々年配なのは否めないが、経済畑を歩み、1999年から2005年までUNDPの副総裁を務める。その後も、フランスのエネルギー関連の大企業、AREVAグループに関わるなど、国際的に活躍した人物。2010年に彼自身がUPCを結成して、今回の選挙に至る。

一方のカボレ氏。簡単な略歴は前回の記事に書いたので割愛するが、ブレーズ・コンパオレの懐刀でポスト・コンパオレの筆頭格だった、サリフ・ディアロ(元農業大臣)や元ワガドゥグ市長のシモン・コンパオレとともに、MPPを結成している。

この二人の大きな違いは、ジャブレ氏がUPCの唯一のスター選手で、一方のカボレ氏は、政治経験豊かなディアロ氏、コンパオレ氏を従えていたということ。何人かの友人は、こんなことを強調していた。

今回の大統領選挙、不正をただし、過去の権力被害者を救済し…というお題目が前景化されていたのに、かなりプラクティカルな議論が繰り広げられていたことがわかる。話を聞いた何人かは、かなりヒヨル傾向があるので、この「議論」というのも微妙なところなのだけど。

カボレ氏の父は「CEDEAO」のディレクター。ヒヨル傾向のある友人曰く、「カボレは金の中から生まれた」とか。ちなみに、彼はカボレに投票したという。そして、自称サンカリストだ。そういう彼がカボレ氏をサポートしたのには、最終的な政権運営能力を見越してのことなのかもしれない。

選挙から間もなく1か月。一昨日、25日の夜には、9月にクーデタを企図したジェンジェレ(現在は軍刑務所に収監)の救出のため、50人のジェンジェレ関係者が軍刑務所を襲撃。ジャンダルメリーと正規軍により、完全に排除され、大事に至らなかったが、まだまだこんなことがおこっている。そして、預言者の生誕祭、ノエルが続き、祝日の間は一時解除されたが、昨夜から再び夜間外出禁止令が出たままだ。明後日、29日にはいよいよカボレ氏の大統領就任式が執り行われる予定で、このあたりが最後の山場だろう。

ここには強力な軍隊も、政治家も、警察もいない。実は、上に書いた話は、今こんなことを書いているホテルから2㎞ほど離れたところの話。おそらく、マリやニジェールなど周辺国のように、最新鋭の武器をもった勢力が発生したら、もしかすると全く抵抗できないかもしれない。しかし、この国で安心できるのは、普段は穏やかでも、やるときはやる、市民の力があるためだ。そして、短い1週間だったが、いつものように笑顔で迎えてくれて、いろんなことを話してくれる、友人たち。こんな混乱した時期でも小さな努力を重ね、少しずつ進もうとする友人たちと接していると、どうしてもこんな感覚を持ってしまう。


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