読み直す(『サバンナ・ミステリー』川田順造)



ずーっと前に読んで、分かった気でいたこの本。ゼミの課題文献となった(にしてもらった?!)ので、再読した。


言い方は悪いですが、世界的な文化人類学者というか、歴史家、というか、とにかく何でもできる先生がとうとう行ってはいけない領域に達したことを書いた本、と認識していた。で、本当にごめんなさいでした。本当に「歴史」とはなんぞや、ということが分かりやすく書かれているし、ちゃんと川田先生も自分の情報の出し入れに悩んでるんだな、と。


実は、川田先生とは、何度か学会なんかで拝顔している。


最初に言葉を交わしたとき、名古屋で行われた学会だったが、あまりに緊張して、自分がブルキナファソをフィールドにしているなんて言えず、段差の多いうちの大学で、「段差、気をつけてください」とか言ったら、「私はそんなに老いぼれてないよ!」って怒られた。その後、仲良くしてもらっているTさんに紹介してもらい損ね、結局、研究を始めて以来まともに言葉を交わしたことがない。


まあ、そんなことはいいのだが、とりあえず目の前のやることが終わったら、やりたいのがヤルセの歴史。こちらもモシと同じく口頭伝承の世界。しかも、言葉を失った民族の。間主観的に(私は通時的かつ共時的に、つまり3次元的に…と読んだが)、編み込まれていくのが「歴史」とする川田先生のこの歴史認識は、今では当たり前に知っているのだけど、この人が言うからより説得力を増すのだな、と。


最近、あまり川田先生の文献にあたっていなかったけど、もう一回一通りじっくり味わってみたいものである。

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