2016年1月24日日曜日

天草の「のさり」-1(牛深の雑節工場)

1月18日~21日にかけ、熊本県天草市で「のさり」を探すフィールドワークに出かけた。「のさり」は天草の言葉で、タカラを指す。つまり、地域の資源・タカラを探し、ということになるだろうか。

19日は地球研主催の「地域連携セミナー」を行い、翌20日は牛深という地域の雑節の工場を訪問した。雑節というのは、イワシやサバの節の総称で、牛深は日本の雑節の8割ほどを生産しているという。牛深は天草の南岸に位置する、小さな漁村だが、ここに200軒ほどの雑節生産工場が立ち並ぶ。


一概に雑節と言っても、その製法は大きく二つに分かれる。天日干しと燻製だ。天日干しは乾燥させるのに時間もかかり、味は薄め。燻製は燻製室で一気に燻してしまうので、それほど時間もかからず、香りも強い。当然、燻製の方が人気もあり、値段も高いかと思いきや、最近では天日干しの方が人気があるのだとか。

天草は、天然の豊かな漁場を持っていたが、近年漁獲高が減少したため、宮崎沖や東シナ海産のイワシやサバを使うようになったという。ただ、牛深の雑節の歴史はそれほど古くなく、どうも昭和初期あたりかららしい。九州では、指宿や長崎の鰹節が有名で、やはり、天草でも鰹節に挑戦したことはあるらしい。逆に、指宿や長崎が雑節作りに挑戦したことがあるらしいが、両方とも上手くいかずに、現在のそれぞれの地域分業となったという。


それにしても、その作業はかなり大変で、魚の頭をとり、サバは腸を抜いた後、このように水で洗浄し、さらに、それを約40分間海水で煮る。


イワシはこのように乾燥させる。この写真は小さめのイワシの日干し。


大きめのイワシとサバはこうして籠につめられて燻製室へ。


これが、燻製後のサバ。実にいいにおい。ゆえに、みんなで「食わせろ~」光線を発し、少しずつ頂く。美味い。これだけで日本酒がいけてしまいそう。結局、半身ずつくらいを頂き(僕は1本食べたと思う)、みんなで大絶賛する。


そして、ここで出来たものを大きさを判別する。その際に、しっかり乾燥していないものははじく。これも熟練の技だ。


こうして製品ができていく。一つ4kg。できたものは、問屋さんに持っていく。最近はやりの産直はないのか、という質問が出るのだが、大企業相手が中心のこの産業、工場から直接企業に売ることはほとんどないのだという。問屋が一律で買取り、それぞれのニーズに合わせた品質のものを割り振る。このニーズが細分化されているため、工場が直接売買するのは困難という。カビ一つあったために、全部返品、ということもザラで、単独での売買はリスクが高い。当然、中抜きされるのたが、食品ゆえに、こうしたリスクをどのようにヘッジするのかは悩みどころだ。


ここで働くのは、地方の一次二次産業の例に洩れず、高齢者が多い。しかし、ここでは、時給制をとらず、たとえば、魚の頭とりでは、パレットいくら、という計算をするらしい。少しでもおカネが欲しいときは、たくさんやるし、時間がないときは、できる範囲で、という融通を利かせるためらしい。若い人も何人か雇ったことがあるが、すぐに辞めてしまうというし、よくある文脈にのせてしまえば、3K的な職場ゆえ…ということがいえてしまうのだけど、無理のない「高齢者」の労働を見ていると、まま、そうは言い切れない。とにかく、ここの人たちはよくしゃべり、よく笑う。記念写真を撮りましょう、と誘うと、みんなが手を休めて集まってくるし、短い間にたくさん冗談も言ってくれた。確かに、社員としての責任を考えれば、それも大変なことなのだろうけど、なんか、オフィスで働く僕らのような感覚とは少々異なる雰囲気に見える。そして、この工場を見ていると、少子高齢化の難しさという言説は一旦置いておいて、違う角度から見なければならないことを痛切に感じる。きっと困難さはそれだけではないし、「のさり」探しも、きっと地元の人が「のさり」が何かを気付いていないだろう、という前提の下での話し。ここはここで生きているし、何を「再生」させるか、と言われると、どうも言葉に詰まってしまうのである。


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