投稿

6月, 2025の投稿を表示しています

【映画】『ノー・アザー・ランド』(2024年、監督:バーセル・アドラー, ユバル・アブラハーム, ハムダーン・バラール ラヘル・ショール, 95分)

イメージ
久しぶりに劇場で鑑賞しました。それなりに忙しく、なかなか劇場での鑑賞は叶いませんが、どうしても見たい作品は万難を排して時間を作るべきですね。 あらすじは こちら (公式Webサイトに繋がります)。 イスラエルとガザ、長く争いの続くこの二つの「国」。2020年代のイスラエルによる破滅的なガザ侵攻は苛烈で、SNSの浸透により、リアルタイムで、剥き出しの現実の映像が世界に配信されています。僕も、今でもこうしたニュースにはアンテナを高くしているつもりですし、そうした中で目の前で人が死に、侵略されていく姿を目にしてます。 この作品のチラシを目にしたときに、必ず見に行こうと決め、近くの「出町座」のスケジュールを確認していました。ようやくそのチャンスが訪れ、授業前に見に行ってきました。この映画を見ようと思ったのは、撮影陣にユダヤ人ジャーナリスト、ユヴァル・アブラハームが参画していること、ユダヤ人がパレスチナで撮影していること、残酷な描写が多いはずだけど、ユダヤ人の中に残る良心、言い換えれば、一抹の希望が見える作品であるだろう、と思ったからでした。 ずいぶんニュースに触れてきたことを自負していましたが、この映画の映像はあまりに凄惨で、胸を締め付けられるシーンが多く、鑑賞中に頭が真っ白になるようなシーンがいくつもありました。舞台となるマサーフェル・ヤッサを侵略する軍隊や入植者による破壊と二人のジャーナリストと、デモ隊の衝突、圧倒的な武装を誇る軍隊による無慈悲な発砲…あまりに理不尽ないくつものシーンは衝撃的です。そして、何より、人間の一番汚い部分を隠そうともせずに、獣性むき出しなのは、圧倒的な資源を持つユヴァル以外のユダヤ人であり、ユダヤにも関わらずガザに寄り添おうとするユヴァルを、ユダヤ人であるが故に責める被害者の男性は、よほど追い詰められているのにも関わらず抑制的で理性的で、「ディベート」と言い、ユヴァルもそれを受け入れる。もはやどちらが追い詰められているのかわからない。 この作品は「「イスラエル人とパレスチナ人が、抑圧する側とされる側ではなく、本当の平等の中で生きる道を問いかけたい」という彼らの強い意志のもと」製作された、という。(公式Website「ストーリー」) 様々な意味での理不尽さを突き付けられ、そのうえで、この映画のあらすじを見返すと、こんな一文が目につきます。被抑圧者...

【フィールドワーク】セネガル人と日本語学習

イメージ
  ハサイドを朗誦する コロナ禍最中の2021年。海外調査が限定的となり、再開した「在日アフリカ人」の調査研究。日本に住むアフリカの人びとを対象とした研究は、私の指導教官でもある和崎春日先生によってはじめられました。私自身は、と言えば、2007年、2008年ころまではあるアフリカ系の方が起こした国賠訴訟に関わりながら調査を進めたものの、以来アフリカでの調査に専念していたため、10年ほど時間が空いてしまいました。 研究の本筋の話は、下にある「最近の研究」をご覧いただくとして、少しずつ関係性が強くなってきたセネガル人コミュニティとのメンバーと一緒に日本語教室を始めました。参与する中で日本に来たばかりの方が日本語で苦労されていること、また、男性についてきた女性や子供たちが日本語習得で困っていることなどの状況を知るに至り、私の方から申し出ることにしました。同じ時期、所属校で親しくさせてもらっている若手職員が 日本語教師の国家資格 (登録日本語教員)を取得したとのこと。セネガル人コミュニティの日本語習得状況を話しているうちに、日本語を教える練習がてら…ということで、講師役を引き受けていただけるとのことになった、という、幸運も重なったという背景もありました。 そんなわけで今年1月から少しずつ始めた日本語教室。幸運にも、学内の予算も取れ、若手職員の人脈でボランティアの方にも応募いただき、5月後半から毎週開催にこぎつけています。一応、調査の一環ではありますが、少しでもお役に立てればよいと思っていますし、なかなか交流を持てない人たち同士が交わり、お互いの理解が進むとよいと思っています。 在日セネガル人の研究、公刊の度にお知らせしていますが、改めてご紹介しておきたいと思います。 ■ 最近の研究 「 宗教的な結節点をつくる:在日セネガル人コミュニティの新たな展開 」(日本アフリカ学会第62回学術大会発表資料、2025) 「ムーリッドを中心とする在日セネガル人の 民族誌的研究序説」  (『インターセクション』Vol2、2024)

大文字山登山

イメージ
  職場の同僚に誘われ、朝からトレッキング。家族の朝食を用意し、洗い物をし、大急ぎで準備していざ。 今回は蹴上から大文字山を抜け、銀閣寺に降りてくる、というルート。大文字山は家族と銀閣寺ルートから登ったことがありますが、蹴上からは初めて。 運動不足のおっさんには不安でしかありませんでしたが、何とか踏破。朝7時に待ち合わせ、たっぷり3時間半をかけて歩き、帰りに出町柳でいろいろ用事を済ませ、お昼を食べて帰宅。家でシャワーを浴びお仕事で、現在に至ります。ひと汗かいてまだ午前中という、なんとも充実した一日でした。 今のところ心地よい筋肉痛ですが、明後日あたり、カチコチになるんだろうな…

【日本のアフリカレストラン】番外編① Happy Kebab (クルド/トルコ料理@蕨店)

イメージ
たまにはアフリカじゃないのも載せたいので、番外編を作ることにしました。 しかし、埼玉は熱い!ぶっ飛んできている気がする。県内では、アフリカ諸国民たちが勢力争いを繰り広げ、クルド人たちはヘイトと戦い、トルコ食材店にはアフリカの人がモノを買いに来るし、何ならキャッサバを作る農家もいる。ガチンコのセネガル料理やガーナ料理が食べられ、何ならアフリカの調味料などなんでも揃ってしまう。わざわざ京都から行くのは面倒なので、本当は埼玉に引っ越したいとすら思ってきています。 さて、訪れた Happy Keban 、いろんなところにありそうな一般的なケバブ屋さんと思いきや、何とクルドの人たちが営まれている。そして、ここのところ様々なところでニュースになっているクルド人ヘイトの起こっている場所でもある。このことは、いずれどこかで書いてみたいと思います。 さて、今回もガーナ料理店を案内してくれたヒロさんと、クルド人をサポートしているヌクイさんがご一緒。詳しい方がいらっしゃる時はすべてお任せ。 はじめに前菜の盛り合わせ。この辺りの前菜というか、惣菜の多くは、「酸味」がベースになっているではないだろうか。酸味と言っても、何かのビネガーやレモン、ヨーグルトのもの。それに素材の味が絡み合い、塩味は多くの場合それほど感じない。下の写真の盛り合わせ、色味は大変美しいですよね。材料、一つ一つ確認できませんでしたが、紫のものは紫キャベツ、緑はオリーブ、白はヨーグルトとおそらくひよこ豆、後はナスなども使われていました。 この辺の料理と言えば、マメのスープ。レンズ豆のスープでしたが、よく食べるものよりも酸味が薄く、とてもマイルドな飲み口でした。 ケバブのセットにピタパン。これがこの日のメイン。肉はマトンです。あまり気にして食べたことはなかったですが、 「ドネルケバブに使われるのは、牛肉、羊肉、鶏肉です。本場トルコでは、肉汁滴る“お肉=エトゥ(Et)”、脂少なめでさっぱり味付けされた“チキン=タヴック(Tavuk)”の2種類から選ぶのが一般的です。 お肉(エトゥ):牛肉75%+子羊20%+尾脂(羊の尾の脂)5%の割合が一般的で、牛肉はモモ肉が使われます。 チキン(タヴック):胸肉もしくはモモ肉が使われます。」 『 ターキッシュエア&トラベル 』(20250610) なんだそうです。へーへーへー。 「油滴る」もお...