【出版】澤村・小川・坂上(編)2023『SDGs時代にみる教育の普遍化と格差 各国の事例と国際比較から読み解く』明石書店

 

しばらく紹介できていなかった業績を何冊か紹介します。

本書の(主)編集の澤村先生には、広島時代から非常にお世話になってきました。科研費の分担者として関わらせていただき、この本はこの成果物になります。内容についてはタイトル通りですが、特に序章と終章を読んでいただければよいと思います。大変すばらしい問題提起とまとめになっています。

この序章と終章は小川さん、坂上さんという、大変若い研究者によって書かれています。この科研プロジェクトが始まる際に、澤村先生はご挨拶で、「最後の科研」ということを何度かおっしゃられており、いわば世代交代がこの本を通じて行われた、と言ってよいかと思います。お弟子さんお二人に編集の澤村メソッドを伝え、二人が最前線に出ていくお膳立てをした、比較教育学の儀礼的な意味を持った本であることは間違いないでしょう。

私は、この科研費の中ではトリックスター的な存在だと思っていて、前著(『発展途上国の困難な状況にある子どもの教育』)でも、少しズレた視点を提供することを意識しました。今回も、この本で語られる「教育」を西欧起源の「学校教育」と捉え、必ずしも西欧起源であるものを普遍化するのではなく、土着の教育、宗教教育を含めた新たな教育を考えねばならない、という視点から論を展開しました。もちろん、非現実的であることはわかっていますが、特に研究者はこうした少し広い視点も持っていてほしい、というささやかなメッセージを発信したいと思っていました。

大きな本ですので、ご関心のある方は、ぜひ図書館にお問合せください。



コメント

このブログの人気の投稿

【食文化シリーズ】ンゴレ

食文化シリーズ「スンバラ飯Riz au Soumbara」

ブルキナファソで非常事態宣言