『サウスバウンド』奥田英朗著

書店で手に取ったか、古本屋で手に取ったか…なんとなく読んだことがあるような気がしながら古本まつりで買ったこの本。やっぱし読んだことがあった…きっと本棚のどこかに眠っていることだろう。

そんなわけで機内で2度目。2度目と言えば、フライト前半で『42』がやっていたので、こっちも2度目だった…それはどうでもいいのだけど、まあ、2度目にしてはずいぶん面白く読めた。奥田英朗の本は3作目か4作目。少し前から注目している作家さんなのだけど、池井戸潤と比べるとストーリーラインはシンプルで、少しコミカルに書く気があるように思っている。

テーマも多彩だし、この本に関してはものすごくたくさんの興味深い要素を扱っている。たとえば子ども、社会運動、家族、学校、メディア、社会通念…そして、この作品の第2の舞台、沖縄での儀礼のこともなかなかよく描けているような気がするし、この人、八重山あたりで生活したことがあるのではないか、と思わせるほど、沖縄の日常生活の描写が瑞々しい。とにかく盛りだくさんなのだ。

アミューズメントとしての小説としては秀逸。2度目を読んでみて改めてそんな評価をしておきたい。

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