『42-世界を変えた男』

出張前、しばらくいないので、買い物がてら連れ合いと映画を見に行ってきた。野球の話であるのと、アフリカン・アメリカンの差別の文化的な側面が描かれているだろう、という期待を胸に、『42-世界を変えた男』を見た。

現時点、メジャー球団共通の永久欠番、42番を付けていたジャッキー・ロビンソンの話。第二次大戦後の赤狩りが激しかった時代、アフリカ系の人びとへの差別は相変わらずはびこり続けていたはずである。なんせキング牧師が60年代だから、いろんなところに差別的な「制度」は残っていたことだろう。

当時のドジャースのオーナー、ブランチ・リッキー(ハリソン・フォード)はこんな時代背景の中でジャッキー・ロビンソンをメジャー選手として採用する。飛行機やレストラン、トイレに至るまで未だアフリカ系を区別する制度が色濃く残るこの時代のアメリカ。さまざまな苦難がジャッキーを襲う。困難を乗り越え、ジャッキーはスターダムを駆け上がる、というストーリー。

まあ、そうだろう。映画として、過去に(もしくは現在に至るまで)アフリカ系に対する差別があったことをハリウッド(アメリカ)が認め、これに対して戦った人がいたことを映画と言う形にしたのは評価。たとえば、オバマが大統領になった、という評価に似ているかもしれない。が、僕はオバマが「ノーベル平和賞」を貰ったことは今でもノーベル財団の価値を大きく落としたと思っているけど、こういう映画もここだけで評価をしてしまうといけないように思う。この映画の問題点は、「苦難」が軽すぎるのである。足を踏まれたり、ビーンボールが飛んでくることは、ちょっといいバッターだったらままあること。野次も時代背景を考えればまたあっただろう。野球を舞台とする映画だけど、この時代、ビーンボールよりももっと恐ろしいことがあったはずで、これをもう少し描いておいてほしかった。

個人的には少々単調、平凡な作品、と評しておきましょう。




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