NGOって何だった?

今回の調査は「緑のサヘル」というNGOからの委託だ。あんまり大っぴらにしない方がいいんだろうけど、この辺までは大丈夫だろう。いずれ職場のHPにもアップされるのだし。

2010年以来、NGOからの仕事ではずいぶん久しぶりで、改めて、「ああ、こんな感じだったな」というように感覚を思い出しながらやっている。学術的な研究という、きわめて自由度の高い世界から来ると、ちゃんと「仕事」の感じがしてしまう(適当にやってるわけではないので。為念)。

もう少し踏み込んで書けば、今回の仕事の半分はローカルNGOの情報収集で、これがなかなか面白い。もちろんなんとなくは知っていたけど、NGOの階層がこれほどまで明確だったということは、今回知った中でも最も面白いところ。よく考えれば当然なのだけど、カネを取ってくる人(団体)があって、それを下請けに出して、下請けはさらにその下請け(この辺で村の組織になる)に出す。成果はその逆のルートをたどる。つまり、実際に現場におカネやサービスが落ちていくのに「エイジェント」が媒介しているわけだ。さらに、ドナー⇒エイジェント⇒エイジェント…⇒現場、という構図は、上部組織(ドナーと上部エイジェント)のマネッジメント能力や資金力でカバーできる範囲が異なっていたりもする。

今調査している地域が一つの会社だとすると、すごくわかりやすいけど、会社と違うのは、この地域が物理的空間のみならず、概念的にもクローズドな空間ではなくて、すべてにオープンな公共空間なこと。また、こうした援助活動については、Aider Informationというか、役所が当たり前のように情報提供してくれる。援助が地域ぐるみで完全に一つの産業として考えられている。企業を誘致するように、NGOやドナーを誘致する、何の悪気もなく。ただ、ある意味、ビジネスライクで、「仕事」として来ている僕にとっては楽なんだけど。

で、こういう風潮が良いか悪いかは別として、「NGOからの使者」としての僕は、実はあんまりこういうことにいい気がしない。それは、あまりに日本のNGOとここで考えられているNGOの在り方に違いがあり過ぎるからだ。やはり、NGOというのは、活動理念ありきで、そこにおカネや人がくっついてくる、というのが正しい在り方(ただし、「反政府/権力運動」が最初にありき、はまた違う意味で好きではない)なのだと思っている。

この意味で、一つの団体はとても興味深かった。この団体は、養蜂家の集まりなのだけど、環境問題、特に植林や土壌保全にも積極的にかかわっていて、こうした活動から、養蜂の再活性化を狙う、という実にシンプルな理念を掲げ、蜂蜜の販路を広げるなど、ビジネス感覚も持っている。背伸びもしてないような気がするし、自分たちの生活もかかっているからなりに一生懸命やっている感じもする。今回訪ねてずいぶん仲良くなって、仕事の後の一杯、なんてこともあったのだけど、実に楽しいオッチャンたち。上で述べたような団体に比べると、ちょっとウエットな団体なんだけど、こういうのが好きだな。

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