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日本アフリカ学会 第63回学術大会@名古屋大学

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  今年も日本アフリカ学会の学術大会で発表してきました。 これまで、できるだけ調査した新しい資料を提供しようと、いろんなテーマで発表してきましたが、今回は前回のブルキナファソのライシテ研究との連続性を考え、中間集団としてのイスラーム系の「信仰NGO」についての発表をしました。発表要旨は以下の通りです。 「イスラーム系「信仰NGO」による国内避難民支援:ワガドゥグ第9区の事例より」 まあ、発表など、アブストラクトの通りにはいかないもので、データを整理したり、新しい文献を読んだりしてしまうと、未来予想図からはずいぶんとずれが出てしまう。今回の場合、「信仰NGO」という概念自体が問題となった。先行研究にも、特に疑うことなく、「組織」としてのNGOが描かれているが、実際に制度に則ったNGOなどほとんどない。実際に調査してみると、より緩やかな町内の互助会のような、そんなイメージ。NGOにカッコを付けて逃げ場を作っておいて正解で、この枠組みをどうするか、ということは今後の課題とした。 しかし、全体的には、ちょいと酷い発表過ぎた。調査でもう少しまとまった資料が集まるかと思っていたら、思いのほか不調(そもそも2週間という短期ではアポイントをとるところまでが精一杯…)で、データが薄すぎる。そして、発表当日にいまさら気が付いたのだけど、宗教社会学を注視しすぎた挙句、難民研究がノーマークという失態…ゼミがあったら指摘してもらえたのに…という泣き言ばかりが頭をよぎる。 とりあえず発表まではこぎつけたものの、反省ばかりの今回の発表。来年はおそらくオープンキャンパスが重なって参加叶わないのだけど、どこかの機会にしっかりリベンジしていきたい。

2025年度の振り返り

年末と学期末の2回も一年を振り返る必要もないのではないかと思い、こちらにまとめました。「あけまして…」感は4月の方が強い気がしますし。 改めて振り返ってみると、2025年度もバタバタと過ぎ去っていきました。普段生活していると、このバタバタの中で、近視眼的になってしまいがちで、今していることがどんな意味があったのかを考えることもないので、ちょっと丁寧に振り返っておきたいと思います。 【研究面】 原著論文がないのがよくないですが、3冊の商業出版(いずれも明石書店)に関わり、一つは、数年前からの懸案事項であった『ブルキナファソを知るための64章』。中尾世治さんと共編著として(大変ご迷惑を…)初出版。中尾さんとは、この後も何度か一緒に仕事させてもらえると思うので、その端緒としての意味合いもあったかと思います。その他、雑誌記事など数本を書きました。 この他、ここには出てきませんが、2026年度、2027年度出版予定の原稿を書きました。来年は編著1冊、分担執筆2冊の予定。 一方、調査の方も少しずつ進展していきました。まず、ブルキナファソでは、伊達科研、日下部科研の分担者として、ブルキナファソの宗教NGO、特にイスラーム系の弱者救済について現地調査を行いました。実は1年数か月振りの滞在となり、いずれも10日強と近々では、比較的長く滞在できたこともあり、まずまず実りのある調査だったと思います。もう一つ、時々ブログでも紹介している在日セネガル人の調査に関しても進展がありました。30回に渡り開催した日本語教室や毎月のダイラに参加することで、ずいぶんセネガル人とも交流が持てるようになってきました。 【教育面】 清水ゼミ3期目の7人が卒論を書き上げ、無事に卒業していきました。2024年度卒業の学生たちがべったりだったのですが、2025年度に卒業した学生たちは、ほとんど研究室に来ることなく、少し不安を感じていましたが、立派な卒論が提出されて安心して送り出せました。清水ゼミ4期目は相変わらずやんちゃな感じですが、これはまた今年度鍛え直す、ということにして、新たに迎えた5期目は7名。現在、5期目の学生はフィールドワーク中。どれくらい成長して帰ってくるか、楽しみです。 スポットの授業としては、九州大学に招待された、食のワークショップは、とても思い出深いです。旧知の横谷奈歩さんからの依頼で、色々と頭...

【フィールドワーク2026②】ーブルキナファソ①国内避難民問題

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  調査助手のルードヴィックと共に聞き取り 今回のブルキナファソ調査、「信仰NGO(Faith based NGO)」の役割を明らかにする、という大きなテーマを持っていました。このテーマ、実は、2022年ころから関心を持ち始めたもので、ようやく本格的に調査ができるようになってきました。 これまで調査をさせていただいていた、Cheikh Hamidou Sawadogoさんは、モスクのイマームであり、これまでフランコ・アラブ学校を運営してきましたが、2022年の年明けからPDI( Personnes Déplacées Internes 国内避難民)の就業支援を視野に入れた(PDIだけではない)「ビジネス」を展開していきます。社会的弱者を救済する、という宗教組織らしい発想のもとに始められた活動だと思います。 ブルキナファソの社会の中には、イメージ通りの貧困が渦巻いており、こうした渦中にいる人びとをいかに巻き込むか、また、支援するか、ということは、社会の誰しもが考えていることです。凋落甚だしい現在の日本でも公的支援だけではいかんともしがたく、ブルキナファソはさらに支援する手立てが少ないのが現状。社会の構造からみても、市民組織の支援は必要不可欠で、さらに言えば、それだけでも全く充足しているとは言えません。そこで出てくるのが、宗教組織なのですが、そもそも、キリスト教会のチャリティは現在のNGOの原型ともいえますし、イスラームも弱者救済が聖典クルアーンに書かれているほど、こうした意識は高いと言えます。 Sawadogoさんのところは、いつでも色々と聞けるようになったのですが、サンプルが一つでは…ということで、いろんなところに仕掛け、ここ何回かの調査では、それを横に広げる、という作業をしています。こうした支援をする人びとを調べるにあたり、いわゆる比較調査になることから、支援対象を絞り込むことにし、地の利のあるSawadogoさんの事務所のあるワガドゥグ9区に地域を絞り、そこで大きな問題となっている上記のPDIを対象としている「団体」を見ていくことにしました。 PDIの女性たちが栽培する畑 前々回(2024年年始)の調査の際に、Albindaから移ってきたイマームと面会、さらに、年末年始の調査の際にルードヴィックに教えてもらった、やはり北部から移り住んだ人たちに改めてコン...

【フィールドワーク2025ー2026】滞在最終日+今回の滞在で食べたものたち

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  Riz au Soumbara(Tanti Propre) 本日で今回の調査の全行程が終了。年末年始を絡ませての調査で、どれくらい動けるかが不安な中、さらには 1年半ぶりの調査で、挨拶でもう少し戸惑うと思っていたが、SNSで頻繁にやり取りをしていたため、思ったよりも実質的な調査ができた。もちろん、もう少し丁寧に調べたいこともあったが、9日間という短い間ではこれが精一杯か。 公的なデータの収集がままならないことは織り込み済みだが、細かい資料の位置づけがいまいちピンとこない。もう少し概略的な資料が欲しいところ。 調査の内容を少し具体的に言えば、前回からはイスラム系のアソシアシオンに着目しており、状況のアップデートが重要な項目だった。前回の調査でワガドゥグ北部の国内避難民のアソシアシオンにコンタクトが取れており、今回もそこの代表に話を聞けたのは大きな収穫。さらに、ストリート・チルドレン支援のNGOを通じて2か所のアソシアシオン、コミュニティにコンタクトできたことは、この調査自体を広げていくために重要で、次回の調査につながりそうな予感がする。ただ、この時期、役所が閉まっていて統計資料や文書資料にアクセスできなかった。国内避難民関係の資料の収集は、次回の課題といったところ。(UNHCRとかかな…?) さて、何かもう新しいネタはないのだけど、今回どんなものを食べたかをレビュー。 Atyéké avec Salades et poisson 今回の滞在で2回登場したのが、この写真のアチェケ。1年半ぶりくらいで、今回一番食べたかった料理。バサワラガ通り沿いのセネガレで食した。モチモチの食感で、なかなかのクオリティ。魚とサラダ(もう少し野菜が欲しかったが)を混ぜていただいた。 Atyéké avec Salades et poisson そして、イマームのお宅にて。スンバラ・スパゲッティ。懐かしい面々で食べる食事、その後のお茶も笑顔の中で。マウルードの祭礼のため、イマームのお父さんがいらっしゃり、この後ご挨拶に行く。 Spaghetti au Soumbara ホテルはいつものKAVANAで、隣のRestaurant Mame Diallaにも必然的に何度か行くことになる。この日はマフェ。前回より米が増量されているような…マフェは1,000Fcfa。今となってはあまりおつ...

【フィールドワーク2025-2026】アソシアシオン(Association)かソシエテ(Société)か?

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サワドゴさんが購入した土地  28日、30日と10年間継続しているイマーム、サワドゴさんの事務所を訪問した。また恰幅がよくなった気がするが(人のことは言えない)、貫禄が増し、1年半という長い間訪問できなかったことを詫び、この後はもっと頻繁に来るように言われる(そうしたいのはやまやまだが)。宗教の調査なので、もちろんなのだが、毎回ここを伺うと、何度も何人もの人に祈ってもらえて、何だかご利益があるような感覚を持ってしまう。 2023年の1月に立ち上げたスンバラ・プロジェクトが軌道にのり、順調に製造、販売が行われている、という報告を受け、この先の展開として、いくつかのプロジェクトの立ち上げを進めていることの話が聞けた。すなわち、石鹸製造とコットンの布の製造販売、なのだが、サワドゴさんは、すでに着々と準備を始めている。このうち、石鹸の製造に関しては、当初より希望していたものだったが、コットンの方は何かピンときたのだろう、すごいスピードでビジネスを始めている。 石鹸ビジネスを始める予定 石鹸はこれから講習を受けて始めるとのことだが、すでに象りをする機械を制作し、アソシアシオンのロゴが入るようにしている。あとは講習を受けるのと、原材料の仕入れのための資金をためるという段階だ。 下の写真はサワドゴさんがスンバラなどを売っていたブティックをコットン販売のための店舗に改装。スンバラなどは事務所近くの広場に立てた小さな小屋に置いているそう。 3つの商材を柱として、製造から販売まで手掛ける予定だが、これらの製造は、しばらく前にサワドゴさんが購入した土地(トップの写真)に工場を作る予定。こちらも資金調達待ちとのことで、この後の展開が待たれるところだ。 繊維の販売も始めた こうして手広くビジネスを展開するサワドゴさん、2023年に話していたように、多くの雇用を生んでいるのは間違いない。とにかく安定した仕事の少ないこの地域にとっては、大変重要な人物であることは間違いない。 そして、サワドゴさんが紹介したい方がいる、とのことで、30日の午後に紹介を受けたのがイルブドゥさんという女性。お連れ合いに先立たれ、3人の子供を抱えながら、ごみ収集業を行っている。7人のスタッフと共に、「タクシーモト」と呼ばれる3輪車と2頭のロバに荷車を引かせ、忙しく収集をしている。 Ilboudouさん、サワドゴさ...

【フィールドワーク2025‐2026】ブルキナファソに到着:初動~Association pour la Promotion des Arts訪問

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Association pour la Promotion des Arts 調査3日目。ここまで大体予定通りにスケジュールはこなせており、とりあえず挨拶は大体終わり。あと1人、今回の調査の最大のミッションである、UJKZ(ジョセフ・キ-ゼルボ大学)のシリル・コネ先生との面会を明日に控えているが、後は昨日、今日で仕込んだ流れで進める。そして、すでにデータになりそうな話題もちらほらと、期待以上のデータがついてきている。教科書通りに言えば、ラポールが出来上がっている相手に会い続けているので、挨拶を済ませると、スムーズに話が進む。それぞれの新たな動きから、聞き取りの項目も調整し、初動の期間が終わる。 今回は久しぶりにUJKZの社会学者、アブドゥライ・ウェドラオゴ先生とも面会。例年、この時期はお連れ合いのいるスイスで過ごされることが多いが、今年はお連れ合いさんがブルキナで過ごす、とのことで、こちらでゆっくりされており、ずいぶん話し込んだ(深い話になるほどにフランス語の拙さが…)。 ともあれ、ぜひお連れしたいと言われていた、ウェドラオゴ先生が始めたAPA(Association pour la Promotion des Arts)を訪問した。2020年に先生ご自身が購入した敷地は、ディゲットを活用してブッシュ(この地域的には原生林)となり、中心には一本の道がアトリエに向かって通り、アカシアの木にはアーティストの作品が何枚も掲げられている。 敷地内に掲げられる作品。「乾季」だからできる展示 作品を鑑賞していると、敷地内で活動しているメンバーたちに次々と声をかけられる。早速作品の説明を聞き、植物を絵に盛り込んでいたり、ここで取れる植物を使って紙を作っていたり、なかなかに活発に活動している。 作品 アトリエで少し話を聞き、道を挟んで向かい側にあるもう一つの敷地は、ほとんどを畑が占め、整然と野菜畑が広がっている。生徒たちと一緒に取り組んだものなのだそうだ。なかなかに厳しい地域ではあるが、人が手をかけると整然として美しいものになる。 畑の説明をしてくれるウェドラオゴ先生 すでに何度も収穫がされている様子が見てとれ、子どもたちの食事に使われている。 この施設、10年近くに渡りテロが頻発し、住んでいたところに住めなくなった子供たち(家族がいる子もいる)が収容されている。名前の通り、「アー...

【フィールドワーク2025ー2026】ブルキナファソ渡航を前に

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  今回の旅のお供 キイチロウが用意してくれた「サンタさんのおやつ」 卒論の審査が終わり、年内にやらねばならないことはとりあえず一段落(しているはず)。クリスマスの明け方、キイチロウのプレゼントを仕掛け、キイチロウが用意してくれた「サンタさんのおやつ」をやっつけて荷造りをしています。読みかけの本といただいたのに読めていない本、後は読まねばならない本6冊を選び、とりあえずひと段落。 今回は、分担者となっている 科研費(25H00456、代表者:伊達聖伸) 関連の調査です。行先はブルキナファソ。調査の準備はあまりよくできておらず、何をどこまでできるかは、到着までに詰めてやっていきたいところ。兎にも角にも、今回のミッションは、来年招聘予定のジョセフ・キ-ゼルボ大学のシリル・コネ先生と打ち合わせをすること、そして、自分の本来研究でお世話になっているアブドゥライ・ウェドラオゴ先生に会い、意見交換をすることは決めました。その他、インフォーマント何人かにアポイントを取っているものの、1年半ぶりということもあり、安否確認や近況報告でかなり時間がとられてしますことでしょう。さてさて、今回はどんな収穫があるでしょうか。 2019年ころからテロが激化し、ブルキナファソもずいぶん遠い国になってしまいました。ツーリストのビザがなくなったのもあり、気軽に旅行…などということもできず、研究者では、とうとう私一人になってしまいました。とにかく、ブルキナファソの研究を切らさないように、研究者との関係を続けていくように、という最低限のミッションのために行っているような気がします。 また少しずつですが、現地の様子などもアップしていきたいと思います。