ブルキナ政変 現地報告②

写真の整理やらしていたら、もう少し書きたくなったので、引き続き現地報告第2弾。

10月30日。ワガドゥグの市民がまず向かったのが国民議会。言うまでもなく、国政の中心です。当時の写真は、数万人の人びとと濛々と上がる煙、いかにも暴動が起きている光景が映し出されていました。あれから1か月。日曜日ということもあり、そこに足を止める人もなく、静かに佇むのは焼けただれた1か月前までの国権の象徴でした。



まだまだ舗装道路の少ないワガドゥグにあって、完璧に整備された都市的な風景の中の国民議会は焼けただれ、当時のデモの激しさの余韻を残していました。ここはさすがに入れませんでしたが、覗き見ると焼けた車や焦げた壁、中には何かがある雰囲気すらありません。

次に向かったのは、政府与党のCDPの本部。実は、ここは僕が修士論文の調査をした、まさにその場所でした。この建物の向かい側で僕はラスタマンに聞き取りをし、飯を喰い、昼寝をしていました。 相変わらずラスタマンたちが土産物を売っていましたが、なんでしょう、この既視感とついさっきまであったものすごい人の情念の渦巻の跡の混淆は…


この車、中古車だったか、新車だったか…ボディー以外、なーんも残ってない。


ちょっと失礼して、中を覗かせてもらいました。事務所に火をつけたので、紙が残っているのは当然として、それ以外はなーんもありません。あったはずの机、イス、エアコン、その他備品…ここでもすべて持ち去られたのでしょう。


そして、これ。もうこの人も過去の人になったんですね。


他の件でインタビューしている人にも、今回の動乱のことを毎回聞いています。コメの値段の何パーセントが自動的に大統領のポケットに入ったとか、PMB(競馬)のおカネの何パーセントが大統領のものだったとか、にわかに信じがたい、そしてあまりに単純な大統領の錬金術の話を耳にします。

僕は、この国の平和が、悪さをしながらもこの大統領の長期政権によって担保されていると思っていました。だから、2015年に予定されている選挙では、きっとこの国は一定の期間荒れてしばらく来られないのではないかと思っていました。しかし、それはいい意味で裏切られました。この国の最も大きな財産の平和は、トップを一気に蹴落とし、あっさりと実現されました。

ただ、このトップのすげ替えの結果を見るのは、まだまだ時間がかかりそうです。コメ、金、ガソリン、嗜好品、競馬と言った、多くの産業でスポイルされてきたものが、今までのものは戻らないにせよ、これからのこの国の発展にどう役立てるのか。それ以前に、これらの話が本当にあったことなのか。目を凝らして、よく見ていきたいと思います。

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