天草の「のさり」-5 その他

天草の「のさり」シリーズ最終回。

まず、高浜にある白磯旅館へ。ここは、明治後期に建てられた瀟洒な洋館と日本家屋がくっついて並んでいる。現在の支配人のお祖父さまがマダガスカルで築いた財で建てたのだとか。

この地域は洋行する人が多かったらしく、とても面白い歴史の話があった。そのせいか、建物もそれぞれ風格のあるものが多く、なにやら興味深い。




同行の最年長氏がこの当たりの「こんにゃく」の話をききつけており、支配人さんに話を聞くと、旅館の隣に、有名な方がいらっしゃるとのことで、お伺いすることに。すると、でてきたのは80代のご夫婦。このお二人がまた面白い。矍鑠としたご夫婦で、冬の間はこんにゃく作りを休んでいるらしいが、かなり品質にはこだわりがあり、この下の写真の粉を「銀粉」と呼ばれていた。元々は広島からコンニャクイモの粉末を取り寄せていたらしいけど、現在は栃木からだとか。やはり本場だけに、品質が向上したとおっしゃっていた。

そして、旦那さんの方、このあたりの炭焼き職人としても有名な方。お茶を点てるときの炭なども作っていらっしゃる。なぜこんにゃくやさんが炭を?と尋ねると、子どもを大学にやりたかった、と意外なお答え。元々、広葉樹の多いこの辺りの山はよい炭材が取れたとか。


で、そのほか、恐竜資料館(御所浦)、民俗資料館(通詞島)も訪問。恐竜の資料館は、ユルキャラのみですが…


こちら(通詞島)の資料館で面白かったのは、塩の生成の展示。


こんな素焼きの陶器でつくり、そのまま足を折って販売していたらしい。復刻してデモンストレーションをしているらしいので、ぜひ実際のものを見てみたい。


「のさり」探しのたびシリーズもこれでおしまい。

最後に。現職のこうした国内(調査)旅行はなかなか楽しい。一度も行ったことのない地域に入り、すでに入っている人の案内で、確実に普段の旅行では入れないところにまで一気に入れてもらえる。美味いものも食べられるし、少々心苦しいほどだ。

一応、研究の一貫なので、あるキーワードが毎回ある。今回は、エリア・ケイパビリティ(地域の可能性、本当は違うらしいけど、まあとりあえず)がキーワード。なので、「地域のことを考える」訳なんだけど、少し違和感を覚えるのは、「地方は問題を抱えている」という言説とどう向き合っているのか、向き合っていけばいいのかということなのだ。問題を解決すること、というのが、おカネや人を増やすということで、このネオリベ的な前提は何とかせねば、と思っている。滅びの哲学を語る気はさらさらないのだけど、こういうあたりはこの研究所、ずいぶん無防備な気がする。ということを言っても分かってくれる人はゴクゴクわずか。でも、人文学の研究者としては、今一度、声を大にして言い続けなければならないと思っています。

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