【ブルキナファソ調査】国旗の意味するもの

 




【3月27日一部修正・追加】

2024年2月27日~3月4日までブルキナファソに滞在しました。前の投稿でビザのことを書きましたが、観光ビザの発給停止がどのようなことを意味しているのか、もしかすると、政治的な意味も含まれているのではないかと勘繰っています。

ワガドゥグの一部の店舗には国旗が据えられていることがあります。多くがブルキナファソの国旗なのですが、アメリカファッションの洋服屋には星条旗、フランスのトリコロールがかかっているところもしばしばみることがありました。

こうした国旗事情、2023年9月の前回滞在の時に大きな変化に気が付きました。星条旗やトリコロールが掲げられていた店の国旗の多くが、ロシア国旗に代わっていました。昨年時点では、「トリコロールを90度回転させたらロシア国旗になるだろ?」という冗談が通じたのですが、今回、一切のトリコロールが姿を消しました。NHKの報道でも、このことは言われています(関連記事にURLあります)。そして、ほとんどの交差点(ラウンドバウト)の中心には、マリ、ニジェール、ロシア、時に北朝鮮の国旗がはためいていました。

友人によれば、こうした交差点では、夕方になると若者たちがお茶を飲んでいるとか。確かに、炭の後やらお茶の箱やらがちらほらと見える。こんなところで何をしているのだろう…もしかしたら、新たな友好国の国旗に囲まれながら熱く政治を語っているのでしょうか。

街中からなくなったフランス、新たに増えるロシア、この流れは政治的なものだけでなく、私が調査をする人たちからもよく聞こえてきたものを象徴しているように思います。歴史的なフランスの所業、独立後も続いた支配への恨みや怒りは、普段穏やかな民衆の生活の中でもしばしば見え隠れするものでした。

現地滞在中に調査協力者はこんな話をしていました。昨年、クーデタ直後より、エールフランスの就航が取りやめとなりました。この解釈について、調査協力者は、事態が落ち着き、エールフランスから再開の「通達」があると、ブルキナファソ側からフランスの非礼を理由にそれを拒否(勝手に出ていって自分の都合で戻って来る。フランスのそういう態度が我われをいらだたせる、ということらしい)。よって現政権の方針を指示すると。

ただ、ここで注意しておかねばならないのが、交差点に掲げられている国旗に交じり、現トラオレ大統領の写真とそれを賞揚するテキストが掲げられていること。すべてのラウンドバウトではないですし、テキストがすべて同じものなのか確認はできていないのですが、もしかすると、反仏親ロ、サヘル三国の連帯の関係性を可視化するため、こうした国旗やテキストは戦略的に用意されたものなのかもしれません。

フランスに代わり影響を強めていると言われるロシア、盟友のマリ、ニジェールとの連帯(北朝鮮の位置づけがいまいち見えてきませんが)、こうした新たな関係はこの後、どのようになっていくのでしょうか。

【関連記事】

現代アフリカ地域研究センター

ブルキナファソがフランスとの防衛協定を破棄」(2023年1月26日)

誰がブルキナファソの軍事政権を支えているのか」(2023年2月18日)

NHK

西アフリカで相次ぐフランス軍の撤退 忍び寄るロシア」(2023年9月27日)

BBC News Japan 

フランス ニジェール駐留部隊を年内に撤退」(2023年9月25日)


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