第7回「西アフリカのイスラーム」研究会

7月31日に第7回「西アフリカのイスラーム」研究会を実施した。

昨年から理系の多い今の職場でバリバリに人文学系の研究会を続けている。寛大なボスのおかげで、「みんなにわかるように」ということだけを考えて若手の西アフリカ研究者を集めて、しかもセミクローズドに開催できている。オーガナイザー本人はともあれ、きっと次世代の西アフリカ研究の中核を担う若手研究者が集まり、喧々諤々やっている。これまでの経過はこんな感じ。

開催日発表者所属タイトル備考
12012年8月13日清水貴夫総合地球環境学研究所はじめに 「西アフリカ・イスラーム研究会」の「砂漠化をめぐる風と人と土プロにおける位置づけキックオフ、西アフリカ史研究の手法と限界、可能性について
中尾世治南山大学大学院人間文化研究科人類学専攻西アフリカ中世史
22012年9月10日清水貴夫総合地球環境学研究所モシ王とイスラーム:西アフリカにおけるもうひとつのイスラームのあり方政治権力とイスラームの関係性を民族誌的に分析した
伊東未来大阪大学大学院人間科学研究科都市ジェンネのイスラーム
今中亮介京都大学大学院アジア・アフリカ・地域研究研究科マリ帝国とイスラーム
32012年10月5日清水貴夫総合地球環境学研究所タリベとコーラン学校のモビリティ:ブルキナファソの事例からイスラームの重要な社会的機能である教育機関と教育者についての解説
伊東未来大阪大学大学院人間科学研究科隣人としてのマラブー:マリ共和国のアルファを事例に
42012年12月20日溝口大助九州大学人間環境学府 研究員マリ共和国南部カディオロ県におけるセヌフォ社会の集団性と死西アフリカの湿潤地における「社会的紐帯の再組織化」を家族論、呪術論から解説
52013年3月1日   2012年度のまとめと2013年度の打ち合わせ
62013年5月29日阿毛香絵フランス社会科学高等学院「セネガルにおける若者とイスラーム ~教育、政治活動、宗教実践の現場から~」セネガルのダーラ(イスラーム教育機関)から見る宗教実践、教育制度を紹介した。
72013年7月31日佐久間寛東京外国語大学 ジュニアフェロー「この土地は誰のものですか‐ニジェール共和国西部ソンガイ系社会をめぐる/からの問い-」ニジェール共和国ソンガイ系(ザルマ)社会の土地制度をめぐる「所有」の問題を分析


今回は佐久間寛さんにスピーカーをお願いしてソンガイ系社会の土地制度についてお話をお願いした。割と簡単に使ってしまう「所有」という権利。これが近代的社会における特有のものであることは先達により指摘されていること。しかし、土地を使う権利と処分する権利の間に断絶があり、「所有」(≒相続できる権利)と貸借関係の弾力がありつつ「情動」により「所有」が保たれているという説明。非常に複雑だが、近代的所有概念とは相いれない哲学的課題だと言えるだろう。

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