ワガドゥグのアジール「側溝」





47haにあった「近代的」建物以外の建物が取り壊されたワガドゥグの中心街。通称プロジェ・ザカ。ワガドゥグの「近代化」政策の一部である。


数日前、この地域を知人女性と歩いていた。他のNGO関係者と食事をしにいくところだった。彼女はカメラをむき出しで持っていた。ちょっと危ないかな…と思ってはいたが、街の写真を撮りたい、と言うので、放っておいた。


この地域を過ぎ、僕の調査地クワメ・ンクルマ通りへ。そして、そこを越える。ここのところ、ワガドゥグの街は停電が多い。街は暗かった。

←の写真は、半年ほど前、ストリート・チルドレンを調査していた時に撮ったもの。プロジェ・ザカ全体に張り巡らされている。深さは区々だが、深いところで大人一人が立って入れるほどになる。ここは彼らが寝床にしているところだ。

そして、事件は起こった…

僕の後ろを歩いていた彼女は、突然カメラを引っ張られ、この側溝に吸い込まれるように引きずり込まれる。叫び声…気づいた時には半身が側溝にはまっていた。必死に引き上げようとするが、下に引く力とそれを上にひっぱる力。どんなに力の差があっても後者が不利。どれくらいの時間がたったか分からなかったが、とにもかくにも、彼女の無事を確保して、すぐにその場を去った。

「アジール」…「聖域」とか「自由領域」とか「避難所」を意味する社会学とか歴史学とかの言葉。たとえば、ユダヤ人のゲットーとか、駆け込み寺とかがその例としてあげられる。もしかして、ワガドゥグの街に張り巡らされている「側溝」もアジールになっているのではなかろうか…

「近代国家」ブルキナファソ政府は「近代的」なものとして、この得体のしれない世界の住人達を駆逐しようとしている。これよりさかのぼること、数か月前、ここからほど近い地域の「側溝」の住人達を無差別に射殺した、という。しかし、この事件の時、僕が最初に目を合わせたのは、どうもこの「側溝」の住民ではない。「側溝」の住民は、物乞いをすることがせいぜいのいわゆるストリート・チルドレンであり、暴漢は20代も後半くらいに見えた。手口からしても、確実にプロだ。どこにラガーマンの中でも力の強かったおっさんより力の強いストリート・チルドレンがいるものか…

コメント

  1. 荒熊さんも襲われないように気をつけてください。

    わたしに!
    は?(>_<)

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  2. はい…

    その後の話。

    おそらく一番「犯人」の仲間と思われがちなストリート・ボーイいわく、最近同じ手口が同じ場所で多発しているのだそうな…マルシェの電気製品を売ってるあんちゃんにもカメラの捜索をお願いしました。どうもどこぞに泥棒市みたいなのがあるんではないか、と思ってます。

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