【映画】『カンタ!・ティモール』2011(監督:広田奈津子)、第3回「アフリカ・アジア現代講座」
12月19日(金)に開催された本年の第3回目「現代アフリカ・アジア講座」が開催されました。
今回は『Canta!Timor』の上映会を行いました。
熾烈な独立戦争を経て独立を勝ち取った東ティモール。インドネシア、そして、それを支援する西側諸国の援助の中、残虐な弾圧を受け、独立後も簡単にその傷は癒えるわけもない。しかし、東ティモールの人びとは、穏やかな笑顔をたたえながら、過去の罪を許しているようにすら見える。
この作品、当初は「1990年代の東ティモールの独立」に焦点が当たったものだと思っていたのだが、不意にその批判の刃は我われ日本に生まれ育った者にも向けられる。東ティモールは第二次世界大戦でも、ティモール島沿岸の海底油田をめぐって日本とアメリカが激しく戦った海域であり、もちろん、東ティモールにも大日本帝国による蛮行が及んでいる。長い独立の歴史を経て、彼らが言うのは、「もう我われで最後にしよう」ということ。こうした「許し」は、この映画を撮った広田監督のおおらかな人柄も強く影響していただろうが、人が争うことの、もしかすると唯一の解決策なのかもしれない。
この作品や、おおらかな広田監督の語りを聞き、思い出したのは、ブルキナファソのイマームをはじめとするムスリムたちの「tolérance(寛容さ)こそがイスラームの精神」という言葉だ。「赦し」、「許し」…宗教的な意味にせよ、世俗的な意味にせよ、人間が欲深い動物だからこそ尊いのかもしれないと思った。

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