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10月, 2025の投稿を表示しています

【出版】山田肖子・溝辺泰雄(編)2025『【第2版】ガーナを知るための57章』明石書店

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  2024年後半のある日。長らくお世話になっている山田先生からメールが来ました。メールの内容は、ガーナの食文化についての執筆依頼。もちろん、山田先生は私がガーナのお隣を専門としていることはよくご存知で、私はもちろん「ガーナには何度か行ったことはありますが、私よりはるかによくご存知の方がいらっしゃるはず…」とお返ししたのですが、「清水さんの文体がいいからぜひとも」とお返事をいただき、そこまで言っていただけるなら!ということで、お受けすることに。 ところが、これからガーナに行くにも、海外調査に行くような研究費は使い切る目途が立っていたため、日本国内で調査をすることにした。その日から、ガーナレストランを探し始めた…というストーリーではなく、その少し前に知己を得た、 比呂啓さん のことや、比呂さんが自費で出された本のことが頭にあって、何となくガーナ料理を実地で勉強する目途は立っていた、というのもお受けしようと思った背景にありました。 ただ、ガーナに行ったのは2014年が最後。しかも国際学会で食べ歩きができたわけでもないし、家庭料理など(今でも)全くわからない。しかし、お引き受けした以上はガーナ料理を勉強せねば、ということで突貫工事を始めたわけです。何軒かのレストランを訪れた中で、 Amaging Grace に照準を定め、集中的に5回ほど伺いました。お店の方は話しかければ、話せるが、向こうから話かけてくれるわけではないので、少しずつ馴らしていくように、3回目にこちらの顔を見て、お店の人がにっこりしたタイミングでちょっと話をしてみる。4回目に30分くらいおしゃべりをして、ようやく聞き取りができるようになる。ある程度原稿が出来上がり、5回目の訪問で足りない情報を聞き取り、おなかも頭もいっぱいで書き上げる…現地で少し食べ歩きたかったし、もう少し聞き取りもしたかった… 書いた後でなんですが、この後、ガーナに行く機会、何度あるかしら。行ったらぜひに食べ歩きをしたいものです。 目次、執筆者等の情報は以下の明石書店さんのウェブサイトからどうぞ。 https://www.akashi.co.jp/book/b670136.html

【子ども学と子育て】Vol.34 丹波の黒豆を狩る

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なんか違和感ない… なんだかあっという間に秋も深まり、長袖を出したり、なんだかんだと季節が変わってきました。大学の方はと言えば、入試やら説明会やらオープンキャンパスやらと、こちらもあわただしく、10月は3つもゲストスピーカーにお呼ばれしていることもあり、さらにツメツメ。 何とかいくつかの案件を乗り越え、ようやく完全フリーの休日。その少し前に、 春に行ったタケノコ狩り の話になり、「またああいうの(畑作業)やりたい」というので、早速検索。栗拾いや芋ほりがたくさん出てくるのだけど、そもそもうちの家族はみんなで栗もサツマイモもあまり食べない(私は好きなのだけど…)。なかなか難しいな…と思っていると、枝豆狩りの体験会を見つけ、これなら…と思い応募。「 丹波ふるさと村 」という団体が実施する企画だが、一人一株で700円、となかなかにリーズナブル。 自宅から車で2時間。若干遅刻したものの、スタッフの皆さんには笑顔で迎えていただく。すでに5-6組の家族連れにカップルが畑で収穫を行っている。到着早々に畑に案内していただいて、鞘に斑点がでているのが甘いなど教えていただき、早速収穫。 やっぱり違和感ない。農家のおっちゃんっぽい ふかふかの土に根を張った大豆、「幹」の根本は、まるで「木」。直径2-3㎝でなかなかに太く、しっかりとしている。貴一朗にやらせてみると、はさみがなかなか入っていかない。最後の仕上げを僕がやってなんとか3本収穫。 その後は、豆を外す作業。1株から1㎏前後獲れるという触れ込みで、「ほんとかいな?!」と思っていたけど、なかなかの大量。 ブリブリの枝豆 実もふっくらしてて、大きな豆が入っていることがよくわかる。豆を外していると、カエルが出てきたり、かれこれ30分ほどかけて3袋分。このレベルの枝豆が1㎏700円…大変お得かと。  畑からの帰りに道の駅でお野菜でも…と思っていたが、道の駅は逆方向。路上で大きな白菜を見つけ、譲っていただこうと車を止め、値段を尋ねると「なにか買ってくれたらただでよい」とのこと。しかし、大量の枝豆があるので、豆は…と言っていると、端にラッカセイが置いてある。これもなかなかに立派なラッカセイ。売り物であることを確認すると、一皿譲っていただく。袋に詰めてもらっている間に、アフリカでは獲れたてを生で食べる、ということを言うと目を丸くして驚かれる。...

「ワーク・ライフ・バランス」を調節する

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今年度、貴一朗が4年生(高学年)になり、連れ合いの職場が変わり、遠くなったこともあり、帰宅時間が少し遅くなった。特に連れ合いの帰りが18時となったことで、貴一朗の夕飯の時間を調整しなければならなくなったのだけど、いよいよ食べ盛りを迎えつつある少年をあまり待たせて不良少年になってもよくないということで、若干調整のききやすい僕が調整することにした。 これまでは、夕方18時-19時ころまで研究室にいて、それからジムに行ったりして帰ってきていたが、4月以降、ほとんどこのパターンが出来なくなっていた。しかし、ここ何年が現職で勤める中、週末がかなりつぶれてしまうことを考えると、やはりジムに行くくらいしか運動継続は難しい。もちろん、できる限り自転車通勤をしているので、それなりの代謝はあるのだけど、全盛期のそれには比べ物にならない量しか食べなくなったものの、「我が胃衰えず」で、まだまだ健啖の類だ。なので、ジムにいく時間は何とか確保したい… 限られた1日24時間という制限の中、生活を構成する要素をパズルのように当てはめてみる。日中は授業もあり、どうしても自分ではコントロールできない。その一方で、研究に充てる時間は朝だろうが深夜だろうがどうにでもなる。となると、コントロールできるのはジムの時間。ただ、9月まではジムに行けるのが平日土曜夕方のみ。年度明け、前半で試みてみたが、ジムに行けるのはせいぜい土曜日夕方のみ。平日夕飯を作って食べてから、もう一度外出する、というのがどうしても難しかった。そんなわけで、ジムとの契約を変え、10月から出勤前にジムに行く、というパターンに変えてみた。朝活をして爽やかに仕事に向かう、目指せしごデキおじさん。 今のところ… 卒論やらゲスト講師の準備やら原稿やら…今のところ、結局あまり行けておらず、現状維持状態なのだけど、隙間時間は午前中の方が取りやすい、ということは分かったので、あとは自分次第。 最近ちょっと流行ったので、「ワーク・ライフ・バランス」とかつけてみたけど、あんまり関係なかった…

秋を探す

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深泥池と中秋の名月 2か月遅れくらいでようやく夏休み分のことをメモしました。気が付けば、秋ですね。秋になれば大学は来年度のことでバタバタとします。予定管理ができておらず、スケジュールが火の車状態な上、夏の疲れを回復させようとしているのか、気候がよくなり、布団にいる時間が伸びて益々スケジュールがきつくなる、という毎年のルーティーン。 すっかり秋の色の空と比叡山(定点観測) 自転車で動き回っていると、軽くなった空気や、ふとした時のひんやりした風、柔らかくなった日差し、すっかり聞かなくなった蝉の声…季節の変化を敏感に感じ取れます。忙しくなるとこんなことに感激している暇もないので、少しは意識してみようと思っています。 ほとんど通勤途中のものですが、秋っぽい写真を集めました。 ほんの少し色づく東大路の銀杏並木   キャンパス内の金木犀

セネガル・プログラム2025 ⑤ とりあえずの区切りとして

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大西洋に日が沈む 2022年、コロナ禍が収束に向かったころから始まったこのプログラム。今年で4回目となった。4年間合わせてもせいぜい20名程度ですが、アフリカに行ったことがないばかりか、初めて海外に行くという学生を連れてユーさんとセネガルを歩いてきた。 セネガルの人びとの溢れんばかりのホスピタリティ、乾燥地特有の軽い空気感、初めて出会う人たちと囲む料理、熱気にあふれるマルシェ、人々のカラフルな着衣…様々な風景を見せることができたのではないかと自負している。セネガル渡航を通して変わった学生も、変わらなかった学生もいて、20人程度とは言え、様々な反応があり、その一つ一つが私の胸には色あせることなく残っている。 実は、所属先のアフリカのプログラムは次々となくなってきている。私が赴任した際の、アフリカの熱はすっかり冷めてしまったようだ。学部の再編に伴い、3か月の留学(海外長期フィールドワーク)も今年度で終わり、何やらこのプログラムも縮小、ないし廃止のような話もでている。それなりの熱量をもって、毎年2-3か月の準備を重ねてプログラムを練り、安全面でも相当の配慮をして、学生がプログラムに集中しつつ、リラックスした状態でアフリカに接することができる機会を作る努力を重ねてきた。こんな使い方でよいのかわからないが、こんな話が出てくること自体が、「遺憾」である。ただ、どこかでこの経験やらが続いていけばよくて、私の所属先のことは、まあ大したことではない。一つの大学のアフリカ・プログラムがなくなる、というだけの問題である。 しかし、改めて、学生をアフリカに連れていく、ということの意味を考えさせられる。はっきり言って、相変わらず、体調を壊したり事故に遭うリスクは圧倒的に高い(犯罪リスクは小さいと思っているが)し、安全性に気を配るほど金もかかる。それでも、今だからこそアフリカに行っておくべきだ、ということは強く感じている。 僕らが大学生のころ、アフリカは「貧困」とイコールで結ばれていた。今や、我われはそんな一次方程式では理解しなくなったし、アフリカが世界に与える影響力は、実質的なできなくなった。僕らが「バックパッカー」という、冒険家まがいのことは、もしかすると、以前以上に「金持ちの道楽」になっていくかもしれない。そして、サハラ砂漠でも電波がある昨今、ラクダにまたがって砂漠を遊動する、という旅は...

セネガル・プログラム2025 ④ NGOの力、アーティストの力

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マングローブ林を解説するThomas Thomasと回るセネガル沿岸の旅2日目。かねてよりThomasが案内したいと言っていたNGOを訪問する。Nbourの街中の川のほとりにあるAGIREの事務所には、多くの小中学生がたむろしている。 Thomasに導かれて通された事務所の中は、多くの「女性」が忙しく立ち回り、私たちはサロンのテーブルにつかされた。しばらくすると、AGIREの活動についての説明が始められる。このNGOの活動として、マングローブ林の植林、蠣や水産加工品や食用として消費される貝類の養殖、そして、ことさらに強調されていたのは「リーダーシップの養成」、ということだった。 話はそれるが、僕自身、アフリカやNGO、国際開発ということに関わり始めたのは、以前、このブログでも何度か紹介してきた森本栄二さん(学生時代の恩師)やアジア学院の影響によるものだった。特にアジア学院は、創設以来、途上国のリーダーの育成を強く押し出し、コミュニティのすべての人が取り残さないという哲学を持ち、そのために、サーバントリーダーシップ(奉仕するリーダーシップ)という独特なリーダーシップ論を展開、実践してきた。アフリカのローカルNGOも数十の団体を見てきたが、大変素晴らしい活動をしているNGOであっても、その多くは、創設者によるワンマン経営であることが多く、創設者が倒れるとその団体そのものが存在を消す、というのが常であった。つまり、多くのローカルNGOは継続的なコミットメントが脆弱で、支援の瞬間風速で勝負している感じ。AGIREの代表のカリム氏がこうした考え方に共鳴する、ということは強く興味を惹く。  Nbourで活動を展開するNGO AGIRE 話をそこそこに、潮が満ちる前に見せたいものがある、とのことで、長靴をはき、事務所前の橋を渡ったところにある水辺へ。河口部には、囲いがしてあり、様々な設備が整然と並べられている。大西洋に面するセネガルはアフリカ有数の水産物の豊かな国。セネガル沿岸は寒流と暖流がぶつかる好漁場に面している。40年ほど前から蠣の養殖が始まり、沿岸部に広く養殖場が広がっている。人々の生活にも入り込んでおり、イエットのような蠣の加工物なども生産されている。今回AGIREに見せていただいたのは、このNGOが試みているいわば「実験圃場」のようなところだった。 蠣の養殖器...

セネガル・プログラム2025 ③ Thomas Grandさんとンブールから南下する

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  Thomas Grandさん Thomasと出会ってもう5年以上。Thomasの作品『 Poison d'or, Poison d'Afrique 』 が第6回 グリーンイメージ国際環境映画祭 に入選、彼自身が来日した際にThomasのアテンドとして、声がかかり、3日間延々と一緒に過ごしたことがきっかけでした。僕らは3日間会場と飲み屋、そして、ホテルを往復し、なんか明け方の新橋と飲みすぎてヘロヘロだった記憶がある。とにかく濃厚な何日間を過ごし、すっかり意気投合し、その後僕がセネガルに行くと、片道何時間もかけて1時間の時間を過ごしてくれるなど、機会自体は少なかったが、少しずつ仲を温めてきた。 2021年にこのプログラムの視察のため、共担の ユースギョン さんらとセネガルを訪問した時のことである。出発前に行程、レンタカーの手配、ホテルの手配、面会する人とのアポイント、すべて完璧に準備した…つもりだった、いや、していた。しかし、長いフライトを終え、セネガルの空港に到着、ドライバーと落合い、空港近くのホテルへ…ホテルが…ない?!ホテルは探せど見つからず、深夜23時に行き場のなくなった我々は、Mbourに住むThomasの存在を頼ってみることに。久しぶりに電話をすると、突然の来訪を嫌がるどころか、深夜に山盛りのパスタとおかず、そしてビールで迎えてくれた。 学生はこの話をすると、面白がってくれるが、ユーさんも同行した職員も初めてのセネガル。私もガハガハ笑いながらThomasと話していたが、お二人はさぞかし不安だったことでしょう… そんなわけで、ずいぶん長い時間をかけて仲を温めたThomasに、今回は正式にアテンドをお願いした。彼にお願いしたのは、映画で撮ったセネガルで最もよく食べられる魚であるヤボイ漁と水産加工場への案内である。 Thomas宅での朝食(2回目…) 今回の旅程では、ゴレ島から直接Thomasの家で彼をピックアップして南下しながら漁港を訪問する、ということにした。のだけど、Thomasのホスピタリティが炸裂。事前に、「朝飯は打ちで食え!」とのことで、なるべく早く到着するようにすると、期待を裏切らずモリモリの朝ごはん。ゴレ島で少し食べてきたものの、学生たちはすでに食傷気味か… 少し休ませていただいた後、ンブールMbourの漁港→ワランWarang...

CAACCS(アフリカ・アジア現代文化研究センター)企画 連続講座「表現でみるアフリカ・アジア社会とその課題」

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  恒例のCAACCSS連続講座、本年も開催いたします。今年は共通テーマを「表現でみるアフリカ・アジア社会とその課題」として、センター員が企画しました。今回は、昨年に引き続き、映画の上映会、写真展、裁縫のワークショップなどが行われます。 どなたでも無料でご参加いただけます(除く第5回)が、会場のスペースの都合で、入場者に制限を設けさせていただいております。いずれも貴重な機会になるかと思いますので、事前のお申し込みをお願いいたします。 お申込みはこちらから また、この後の詳細は、 CAACCSウェブサイト でお知らせいたします。 ****予定**** 第1回 10月24日(金) ミャンマー「『エイン』への思いを語る」 登壇者:ティンダン監督 ナビゲーター:ナンミャケーカイン(京都精華大学特任准教授) 第2回 11月21日(金) 近日公開 第3回 12月19日(金) 『カンタ・ティモール!』 登壇者:広田奈津子さん(『カンタ・ティモール!』監督) 阿部健一(総合地球環境学研究所・モデレーター) 清水貴夫(京都精華大学・司会進行) 第4回 1月16日(金) 近日公開 第5回 2月20日(金) 「西アフリカのワックスプリント「パーニュ」を使用したスカートお仕立てショー アフリカのファッションを体感する」 カブレッサ・デアバロ(服飾職人) 中須俊治(AFRIKA DOGS) 清水貴夫(京都精華大学・司会進行)