【映画】ファミリア(監督:成島出、121分、2023年)


 いよいよ卒業論文執筆が佳境を迎えつつあります。ゼミの学生がようやく本格的にロウンチ
(やっと!)し、私も気合を入れねばなりません。そんな最中、久しぶりの学生が研究室を訪ねてきました。この学生は在日ブラジル人を題材とした卒論を進めようとしているのですが、なかなかうまく書き進められないということで、相談に来られた、ということでした。おしゃべりをしていると、「ファミリア」という映画の話に。アンテナの低い私は知る由もなく、他の学生も見たことがない、ということで、ネットで調べると、アマプラで無料配信されているようでした。

そんなわけで、急遽上映会。こういうのが大学っぽくてよいです。

あらすじは調べればすぐに出てくるので、適当にググっていただくということで。

役所広司演じる陶芸家、誠治を中心に、彼の息子の学、彼らが知り合う在日ブラジル人のマルコスとその家族と恋人、友人たちをめぐる現代の不条理を描いた作品です。誠治たちとマルコスの繋がり方や、学とアルジェリア人の恋人の出会いや必然性がよくわからないなど、若干冗長なところが気になりましたが、出演者もなかなかの重厚な配役(MIYAVIがよい)。生活難から日本に移住、移住した先では、恙ない滞在生活を送るため波風は立てられない、それでも波風を立ててしまう若者、そして、その責任を負わされる…という移民特有の負のスパイラルに絡めとられていく。監督の問題意識がどの辺にあるのかがわかりませんが、保見団地をモデルにしたことはよくわかる。陶芸家の役所広司は瀬戸あたりに在住している設定でしょうか。いずれにしても、上に挙げたような在日外国人の悲哀、高度成長期に建設された大規模な公団住宅が外国人街化していく様子など、在日外国人(ブラジル人)のおかれた境遇を考えるには好作品ではないかと思います。

この作品自体は2023年ですが、ちょっと昔の設定で描かれているかもしれません。最近、僕が触れている情報が、ペシミスティックに日本を憂う論調のものが多いためか、今更日本にしがみつくこともないんじゃないかと本気で思っていますし、(在日)外国人の日本へのまなざしも大きく変わっているのではないかと思います。この辺は新しい問題意識、ということにて、私自身の課題としておきたいと思います。

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