多謝:「砂漠化をめぐる風と人と土」プロジェクト終了

Seniさんとの出会いも「砂漠化プロ」が与えてくれたもの。僕自身が土や農と多少なり向き合えたのは彼のおかげの部分が大きい(201310清水撮影)
2012年に始まった相互地球環境学研究所「砂漠化をめぐる風と人と土」プロジェクト。あと数日で終了となります。僕自身は地球研では4年間、広大に移ってからも1年間、参加させていただきました。

研究者として駆け出しのころに、研究の幅を目いっぱい広げることができましたし、自分のプロパーの研究環境を整えることができたように思います。地球研としてもおそらく最後の恵まれた時期に籍をおけたこと、そして、何よりも、ご自身が「放牧主義」とおっしゃるように、プロジェクトリーダーの田中樹先生には、たっぷり研究上の自由を謳歌させていただけました。おそらくご覧になっていないとは思いますが、ありがとうございました。どれだけお礼を言っても足りないほどです。

このプロジェクトの期間にやらせていただいたことは山ほどあって、大した締め付けもないのに、ずいぶん忙しくしていたように思います。とにかく、プロジェクトの期間内に「やりたいこと」がたくさんあって、ひたすらそれを実現させていく、ということに時間を費やしていました。少し振り返ってみたいと思います。

2014年からは西アフリカの仕事がほとんど僕のところに回ってきたのですが、このお蔭で、以前から近しくしてた、溝口大助さん(学振ナイロビ)、伊東未来さん(民博)や中尾世治さん(南山大学)と10回の西アフリカのイスラーム研究をはじめとする仕事ができました。また、半乾燥地の住まいの研究を始めて、小林広英先生(京都大学)やサミュエル・バルトさん(フランスの建築士)とも仕事ができました。これらの研究は、国内外でずいぶん発表を重ね、多少なりペーパーも出て、プロジェクト終了後も強い結びつきを持って研究を継続できそうな雰囲気です。

そして、田中先生とは、10回前後フィールドを共にし、中学生時代から苦手だった「理科」のこと、たくさん教わりました。植生、気候、土、地形、そして、景観の見方…移動の車の中でボソボソとつぶやく田中先生の言葉を追い、そういう知識のシャワーを浴びることで、村に滞在するのがずいぶん楽しくなりました。先日出版したフィールドノートを書いていても、そういう知識が大きく活きていて、自分で書いてみることで、以前は決して書けなかったことが書けるようになったと思いますし、これはプロジェクトでたっぷり連れまわっていただいたおかげだなと思いました。

また、地球研に所属したもう一つの大きなメリットは、分野を横断した研究者との交流にあります。トランス・ディシプリナリティ(TD)という目標を掲げた全所的な方針は、同世代の研究者との交流も大変貴重な経験でした。同じモノ、景色、社会を見るのに、本当に多様な見方があり、つい、一人ですべてやらねばならぬ、と教えられてきた、人類学者の限界を強く感じたものです。当たり前の話ですが、人間一人の力など大したことはなくて、一緒に研究する、ということは、これからの研究の中でも大変重要な手法となっていくのではないでしょうか。

基本的に期限付きの研究員という職は、博論も出していない僕にとっては、本当に奇跡的にいただけたものなのです。確かに、昨今話題になっている、期限付きのポストで、そのあとは何も保障されないわけですが、研究環境としてはパラダイスだったように思います。地球研を離れて1年。もうあの空間も、あのプロジェクトもないと思うと、心にぽっかり穴が開いてしまったような感覚に襲われますが、パラダイスだったのは、5年という期間に設定されていたためでしょう。これからは地球研で、そして「砂漠化プロ」で得たものを糧に、違う形で貢献する番ということでしょう。

改めて、田中先生、プロジェクトのメンバーの皆さまにお礼申し上げたいと思います。また、折に触れ、いろいろと面白いことを企画して一緒に仕事ができますよう、楽しみにしています。

地球研時代の業績は以下の僕のホームページにまとめてある業績の、2012年~2016年までのものです。これからできる限りPDFバージョンをアップロードしていきます。

http://shimizujbfa.wixsite.com/shimizupage/gyoseki


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