【フィールドワーク2025-2026】一国の誇り:ブルキナファソの決断

 




新年早々ですが、ブルキナファソ(多分マリとニジェール)もサヘル三国へのビザの制限に報復して(公用以外の)ビザの発行をやめました。フランスに続いての措置です。年末のものとは言え、なんだか物々しいニュースから1年が始まりました。

2023年に先じてビザ発行を停止したフランス。現在、ブルキナファソにはフランス国籍を持つ人はほぼゼロと言っていいくらいです。ブルキナべの場合は、シェンゲンビザを取得し、ヨーロッパからの唯一の直行便を出しているベルギーに渡ってフランスに行くのだそうです。逆に、フランス人はこうした方法がなく、ブルキナファソ国内には二重国籍保有者かNGO関係者くらいしか存在しない、ということになります。

世界の片隅の出来事で、実利的に強情を張っているようにも見えるし、経済的な影響など全くないので、誰の関心も呼ばないのではないかもしれません。しかし、こうした小国がここまで艱難辛苦を経て尊厳を傷つけられて我慢も限界に達したこと、そして、自分たちの尊厳を守るための誇り高い判断だと思います。

現在のトラオレ政権になってすぐに、フランスがブルキナファソを去り、2年半ほどが経過しました。ブルキナファソは、現在いわゆる軍事政権下にある国です。情報は統制され、市民生活はある程度制限されていることは間違いありません。しかし、フランスが去って困っている人は特に僕の周りでは少なくありません(民芸品屋とかレンタカー屋とかNGO)。しかし、こうした生業は遅かれ早かれ見直しが必要であったわけで、フランスが去りその時期が少し早まっただけのようにも見えます。ワガドゥグの街を見るにつけ、フランスの経済的影響力は中国、インド、トルコと言った新興の国々により、相対的にそれほど大きなものではないし、しばしば聞く、薄汚いフランスの商売のやり方が少なくなったことで街自体は相変わらずの活況があるようにも見えます。フランスの影響はともあれ、軍事政権であることは欧米で教育を受けた大学の教員ですら納得ずくで、むしろ、200年に渡って人類(欧米)が築き上げた「民主主義」という概念に強い疑問を呈している、という話も聞きます。このことは、大変興味深いし、僕らも少し立ち戻って考えるべきことだと思います(かといって、現在の日本の状況を良しとは全く思いません。為念。)。ここまで色々な人と話す中で、「軍事政権」というのは一つの政治のモードで、現状と現政権の実績からすれば、間違いなく現政権のやり方がベスト、という市民の選択があるように思います。

ブルキナファソは、穏やかな国民性を謳われる反面、おそらくはアフリカでもっともクーデタが起こる国でもあります。その支持率などはわかりませんが、市民が支持しなくなれば、選挙という方法がなければすぐにクーデタが起こり政権が転覆します。現在の政権が安定しているのは、少しずつ回復する国の統治、統治が回復したところへの人々の帰還、と言ったプロセスを踏み、そして、これまで進まなかった様々な内政的な課題も一時の停滞期が過ぎ、少しずつ整備が進んでいることを人びとが実感している証左ではないかと思います。

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