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アジア学院のコーディネーターのタカシさん |
本学には「
社会実践力育成プログラム」というオフキャンパスプログラムがあります。大学の外の社会との結びつきを学生に意識させるうえで、僕は個人的に大変有意義なプログラムだと感じています。
京都精華大学に赴任し、当時は「一人2プログラムを企画」するよう言われ、最初に思い浮かんだのが、アジア学院プログラムでした。僕自身、大学生のころに5回ほど訪れ、就職先としても考えたことのあったほど、馴染み深い。恩師や同窓生と過ごした濃密な時間、一人ひとりを思い出すことは困難でも、「多文化共生」や「異文化理解」を体で感じ、今、自分自身が文化人類学に関わるきっかけとなった場所。すべてではないにせよ、一部の学生には確実に刺さるはずだと確信していました。
コロナ禍の2021年度から始めて今回で4回目。夏場はセネガルのプログラムがあるため、どうしても冬になってしまいます。冬はアジア学院も静かで、活動もある程度制限されてしまいますが、それでも参加者同士、またアジア学院のスタッフの密な関わりは変わることなく、私が伝えたいことは冬開催でも十分に学ぶことができると思っています。このプログラムのいくつかのポイントについて書いてみようと思います。
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オリエンテーション |
アジア学院、どれくらいの方がご存知なのでしょう。
URLを見れば大方のことがわかりますが、少し理解しにくいのが、学校なのか、NGOなのか、という点だろうと思います。私は、学校かつNGOと理解しています。創設者の故高見敏明さんが掲げる理念は、現在につながる思想や姿勢が現わされています。国際協力の表面的なソフトは、アジア学院が生まれた1950年代に較べると大きく変化しました。アフリカをはじめとする「南」の世界は、大きく経済発展し、必ずしも「支援」という形がよいとは限らなくなりました。そのため「支援」という面でのみ活動を展開しようとすると、上滑りしてしまっているように思います。
みんながみんな、専門的に「南」に関わることはできません。また、その必要もないと思います。しかし、生活習慣の中で思いを馳せることは難しいことではなく、アジア学院で学んでほしいのは、そのきっかけのようなもの。さらには、民主主義を小さな実際の体験として考えられるようになること、その民主主義がどのように養われるのか、とうことだったりします。なので、アクセサリーとしての「国際開発」が、いかに弱者を消費するものであるか。どんな方向性に思考が進むのか、ということは毎回学生を見ていてとても興味深いところです。
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コイノニアハウスでの食事 |
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豆の選別 |
滞在中の活動はおおむね食に繋がるものですし、実際に滞在中に食べる食事も、アジア学院が持つ独特な環境に直結しています。毎年、オリエンテーションは必ず「食」の話から始まります。日本の食料自給率、参加者がどれくらい自分の食べる食に関わっているのか…参加者が如何に食糧の生産に関わっていないところを意識化し、農作業を少しずつ手伝わせいただくと、生産の過程がとても複雑であること(これが面白いと感じられたら「才能あるな」と思います)に気づき、地味に見える作業の意味が分かってくると、ここの作業がとても面白く感じるはずです。冬場は、収穫された大豆の選別が大きな仕事になるのですが、正に大切な「地味」な作業になります。
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ワークショップ |
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ワークショップで作った作品と共に |
座学的なものも。アジア学院のキーコンセプトである、「サーバント・リーダーシップ」など、いくつかのテーマに基づいたワークショップ式の講義が用意されています。ワークショップ式の講義は、近年大学の授業でも盛んに取り入れられるようになりました。私自身は、インプットがないままのワークショップは、あまり意味をなさないと思っているので、アジア学院で行うワークショップの準備がしっかりできるように、というのは今後の課題です。
今年度も年明け2月ころの実施予定です。これからより学びの深いプログラムになるように仕込みをしていこうと思います。
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