長い時を経て
船橋東郵便局近くの桜並木 |
東京近郊のベッドタウンとして、人口減少時代の現在でもこの街の人口は増え続け、現在70万人に迫ろうとしているらしい。だけど、僕らが住む地区は、年寄の姿が目立ち、とてもこんな勢いのある場所には見えない。近くの商店街もずいぶん前にシャッター商店街になっているし、代わりにできたいくつかの小さなスーパーも高いうえに、それほど品物もよくなく、そして、僕がいたころからコンビニすらできては潰れる(その後の話では、近くの若干荒れた高校生が屯うので、小学校のPTAが閉店に追い込んだということ…)と言った状態で、そういう意味では、あまり生活しやすい街ではない。
都内の中高に通い、会社も都内だった僕にとっては、自分で行動するようになってからは寝るだけの街で、興味を持ってこの街を眺めたことはなかった。免許を持たない僕は、基本的に駅間を移動するだけだし、その駅の回りは歩いたことがあったが、街の中の風景は父の運転する車の助手席からだけ。加えて、中学校から都内に通い始めた僕は、地元の友達がいない。そのため、人とのご縁も非常に薄い。
約20年住んでいたものの、そんなわけだから、この街のこと、僕はほとんど知らない。こちらに移り住んで3週間。今まで東広島の田舎道しか走ってこなかった連れ合いに、道を覚えてもらうことも含め、週に何度かは車を走らせて東西南北に行ってみることにしている。すると、見たことのない景色、幹線道路から垣間見える街の発展の様子、様々なものことが目の前を過ぎ去る。薄れた記憶が蘇る、懐かしい、というよりも、また新たな街にやってきたような気分になっている。
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