「ストリート・チルドレン」の調査から Vol.1 きっかけ


2008年に博士課程後期に進学し、西アフリカのラスタ研究に一段落をつけ、僕は新たな研究テーマを探していた。たまたまいただいた調査費で、渡航したブルキナファソでフラフラとしていた。「フラフラ」という表現が悪ければ、もがいていた、と言ったほうがよいかもしれない。

新たな研究テーマ、まともに勉強もしなかった僕にはとても難しいことで、頼るは直観のみ。自分がちゃんと興味が持てるか、学問として成立するか、また、長くかかわることができるのか。これくらいのことを考えてテーマを探した。

それまでにいくつかのNGOと関わりを持っていた僕は、いくつかのNGOを訪れ、また、時間があると旧知のラスタの元を訪れて思案に暮れていた。そして…その地域のラスタの世話役にあたるラミンとその友人たちとコーヒーを飲みながら話をしていた時のこと、何人かの物乞いをする子どもたちが僕らの前を通りかかり、案の定、「白人」の僕を見つけておカネをせびりだした。

ラスタたちは「オン ナレ(やるものはない)」と言って追い払うと、「ああいう子どもたちは盗みをする。」と言い、僕に彼らには近づかないように言った。僕の調査では、ラスタの兄ちゃんたちの多くは、10代のころからストリートで商売をしたり、時に、ストリートで寝たり、メシを喰ったりしていて、僕からすれば、同じ属性の人たちだったのだけど、実はこの両者は全く異なったステージにいたのだ。外在的に類似した属性の両者がいかに異なるのか、これがストリート・チルドレンの問題との出会いである。

突然こんな話を書き出してみた。ずっとメシの話やら子どもの話やら、割と他愛もない(研究の種にはなっているのだけど)話題を書いてきたし、書くように努めてきた。それは、研究テーマはどうせ論文やらで書くことになるし、少し幅を広げる意味で、そして、日本語を書く習慣づけという意味でなのだけど、そろそろ研究の話も書いておいたほうがよいような気がして、少しずつ書いていきたいと思う。

そして、もう一つ、研究の話を書こうと思った大きな理由がある。ストリート・チルドレンの問題にかかわり始めて今年で10年目だ。これまでの研究でずいぶんいろんなことを汁に至ったのだけど、今度は僕が応答しなければならないモーメントがすぐそこに来ていることを感じるし、それは、きっと悠長に構えていてはいけないことなのだとも思っている。来る日に向けた準備、という意味もあるのだ。どんなことなのかは、いずれお知らせしたいと思う。

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