チルメンガ家のばあちゃん


ここ1年半くらい調査をさせてもらっているチルメンガさんは、奥さんとお子さん、そして93歳になるというお母さんと同居している。3年ほど前に実家のコンセッションを離れた末っ子のチルメンガさんが、お母さんがどうして同居するようになったかはまだ聞き取っていないが、お邪魔するときは必ず挨拶をされてもらっている。

このばあちゃん、歯はすっかり抜け落ち、皺くちゃな笑顔でいつも闖入者を迎え入れてくれる。しかし、今回の調査で挨拶をしようとすると、数か月前に具合を悪くして、しばらく伏せっているという。前回の調査の時は、まだ畑に出ていた、と聞いていたのに…体を壊した後、さらに足を悪くして、すっかり歩けなくなってしまっていた。

8月の頭に、それでも挨拶だけでも…ということで、無理を言って、ばあちゃんに会わせてもらった。ばあちゃんは、このどうしようもない客の姿を見ると、一生懸命起き上がって、手を握ろうとする。耳も遠いので、チルメンガさんと「そのままでいいから」と言って、寝かしつけようとするが、ばあちゃんは抗って起き上がろうとする。あんまり無理をして体に障るといけないので、とりあえず、「ばあちゃんは何が好きなの?」と聞くと、ばあちゃんいわく「ファファロニ…」。

「ん?ファファロニ?なにそれ?」とチルメンガさんに聞くと、

「マカロニとサーディン」とのこと。というわけで、翌日、チルメンガさんのところに行く前に、ブティックでマカロニとサーディンを購入。ご挨拶がてら、それを置いてきた。

翌週、やはりチルメンガさん宅を訪れると、ばあちゃん、なんと日向ぼっこをしている。看病に来ていたチルメンガさんのお姉さんから、「昨日はすごくたくさん食べていた」とか。そんなに喜んでくれてむしろ恐縮である。

それで昨日。今回の最後のチルメンガさん宅訪問。やはり、マカロニとサーディンを買っていってみた。ばあちゃんはやはり日向ぼっこをしていて、マカロニとサーディンを渡すと、自分の傍らにおく。たぶん3-4㎏ある袋を軽々と。お姉さんが「こっちに置いとくから」というと、「触るな!」といい、かたくなに拒否。その姿を見て、みんなで大爆笑した。

僕自身、実は、母方のばあちゃんはすごくかわいがってくれた思い出があるけど、父方は同居していた時間が長いのにそれほど思い出がない。いわゆる嫁姑の問題があったからなのだけど、ともあれ、そんなわけで、ばあちゃんとはあんまりうまく付き合えた記憶がない。だから、というわけではないけど、なんとなく、接してみたかった、というのがあって、ばあちゃん孝行みたいな真似をしてみた。たぶんいろいろ気を使ってくれてるのだろうけど、とても気持ちのよい反応をしてくれるのは、やはり年の功。ということはどうでもいいのだけど、もっと長生きしてくれるといいな、と思っている。

今回の調査も残すところあと1日。また来たいな、という思いを強くさせてくれたばあちゃんの話。

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