Global Food Index(Oxfam)の政治性

またこういう記事を書いているとお世話になっている業界の人から嫌われそうなのだけど、やっぱり書かざるを得ない。

Oxfam UKが先日Global Food Indexというのを公開した。実に分かりやすくて、よくできた指標だと思う。しかし、いくつかの「ただ」をつけてみると、やはりどうも怪しい。
 

一応、こんなのが出てくるのだけど、一目して、アフリカの国々(緑色)が下位にあり、欧米諸国(水色)が上位にあって、その間に中南米(紫)、アジア諸国(ピンク)が間にあるのがよく分かる。まあ、一歩譲って、そういうものだろう、と思う。
 
このページの説明書きにもあるけど、データは8種類のデータを使用。データソースは国連機関で、直接見られるIndexは、Enough to eat(十分に食べられているか?)、Affordability(価格)、Food Quality(食事の質)、Diabetes & Obesity(糖尿病と肥満)の指標だ。ファストフードに塗れた僕らの日常生活に対してはなかなか示唆的な指標だと思う。
 
 
出典同上
 
それで、Diabetes & Obesityをクリックしてみると、こんな指標が出てくる。総合評価のほぼ入れ替わったものがここに出てくる。確かに、満足に食べられないとされる国が上位に、逆に、メキシコとかアメリカと言った、やたらたくさん食べそうな国が下位に位置づけられる。
 
そもそも、、「いかに腹をふくらかすか」に重きのあるアフリカが上位にあり、その国々に肥満と糖尿病が少ないのは自明。それが健康的なら、多少飢餓状態の方が健康的、と読めてしまう。どこまでこういう皮肉な現象を意図的に扱っているのか、このホームページからは読み取れなかったが、少々ナンセンスだな、と思う。
 
こういう指標が指標の枠を出ないのが、食習慣や地域的文脈、都市と農村、また、地域の食材などが、切り取られているのではないか、という懸念だ。たとえば、平均寿命などを加味したとしても、健康的であることとと食生活の健全さは必ずしも正比例しないので、食生活の評価にはつながらないはずである。
 
この辺を考えると、こうした指標が開発援助に直接反映されていくことが相変わらず恐ろしい。マスデータの出所自体が疑わしい部分が多いのと、マスデータがミクロデータの例外的な(でも重要な)部分をすべて無視してしまっているような気がする。この辺は情報のリタレシーの問題だけど、マスデータをそのまま使わないこと、そして、こういうデータを面白がれる(もしくは、批判的に見られる)感覚や「貧しい」人や地域に同情することがいかに恐ろしいことか、という感覚を養うことについてもっと議論が進むといいと思う。おそらくはこのIndexは格好の材料だと思うので。
 
 
 
 

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