「ストリート・チルドレン」発表@GCOE合宿
帰国後にすぐに研究合宿に参加。
「生存基盤維持型の発展を目指す地域研究拠点」
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/article.php?story=20090123-25
(そのうち今回の合宿の報告もアップされると思います)
ずいぶん苦労(体力的に…ですが)したレジュメは何とか出来上がり(誤字がいくつかあったのですが、アフリカボケということで…)、無事に発表終了。多くの方に出会え、共に同じ釜の飯を喰い、酒を飲み、意見をぶつけ合いした。濃密で充実した3日間だった。
発表要旨は以下の通り。
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「少年の移動と「ストリート・チルドレン」:ワガドゥグの事例を中心に」
ブルキナファソの首都、ワガドゥグ市は推定150万人ほどの人口を擁するブルキナファソの政治経済の中心都市である。ワガドゥグ市には、アフリカの多くの大都市と同様に、路頭で生活する「ストリート・チルドレン」が存在する。
「ストリート・チルドレン」は都市の社会問題と同義で用いられることが多い。だが、本発表では、こうした少年たちのストリートへの出奔を、「社会問題」として扱う以前の、都市への「移動」の現象レベルに引き戻して捉え直すことを目的とする。
人々の都市への「移動」については、都市人類学を中心に多くの研究の蓄積がある。例えば、ガーナ北部から都市部への若年貧困男性の移動を扱ったHartの研究は、経済的な動機付けを持つ人々の「移動」が機能的な意味を持つことを指摘している。だが、本発表の事例に挙げる少年の「移動」は、機能主義的観点から説明することが困難な、目的の明らかでない移動である。
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「生存基盤維持型の発展を目指す地域研究拠点」
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/article.php?story=20090123-25
(そのうち今回の合宿の報告もアップされると思います)
ずいぶん苦労(体力的に…ですが)したレジュメは何とか出来上がり(誤字がいくつかあったのですが、アフリカボケということで…)、無事に発表終了。多くの方に出会え、共に同じ釜の飯を喰い、酒を飲み、意見をぶつけ合いした。濃密で充実した3日間だった。
発表要旨は以下の通り。
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「少年の移動と「ストリート・チルドレン」:ワガドゥグの事例を中心に」
ブルキナファソの首都、ワガドゥグ市は推定150万人ほどの人口を擁するブルキナファソの政治経済の中心都市である。ワガドゥグ市には、アフリカの多くの大都市と同様に、路頭で生活する「ストリート・チルドレン」が存在する。
「ストリート・チルドレン」は都市の社会問題と同義で用いられることが多い。だが、本発表では、こうした少年たちのストリートへの出奔を、「社会問題」として扱う以前の、都市への「移動」の現象レベルに引き戻して捉え直すことを目的とする。
人々の都市への「移動」については、都市人類学を中心に多くの研究の蓄積がある。例えば、ガーナ北部から都市部への若年貧困男性の移動を扱ったHartの研究は、経済的な動機付けを持つ人々の「移動」が機能的な意味を持つことを指摘している。だが、本発表の事例に挙げる少年の「移動」は、機能主義的観点から説明することが困難な、目的の明らかでない移動である。
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無事の帰国なによりです。発表の要旨、ワガで聞いた内容そのものなので、いかに肉付けされたかが知りたいところです。大阪や京都で、荒熊氏が発表する機会がありましたら、是非伺いたいですね。
返信削除>katabira no tsujiさま
返信削除コメントどうもありがとうございます。
あの時点からの「肉付け」ということになると、なかなか厳しいところなのですが、如いて言えば、発表者としての私自身に多少客観性を持ってお話しできるようになったことが一番の成長です。
今回の発表は、フィールド感を出すこと、ストリートの少年たちと研究者(私)の間の相互交渉から見えるフィールドワークの限界点を出すところに重点を置きました。前回の調査時に新たなデータは手に入れているのですが、まだ未処理にて、これから少しずつ厚みのある話になっていくと思います。
そして、今回こだわったのは「社会問題」という概念そのもので、なぜに「ストリート・チルドレン」が社会問題とされるかを、問い直す試みでした。これだけメジャーな社会問題でありながら、それを裏付ける人類学上のデータはほとんど皆無です。こうした、「社会問題」の根拠の部分、その先に、商業化されるNGOや開発機関、さらに、その先には「貧しい」人々をめぐる人間の欲求、欲望の世界に連なる問題系の小さな小さな第一歩です。
「ストリート・チルドレン」が社会問題とされるかを、問い直す試み…なるほどと思いました。愚息の修士論文の要旨は、コーラン中にある『ユダヤ教・キリスト教的なるものの記述』について、その概念を問い直す内容でした。欧米の研究が、結局その概念を的確に定義していないこと、また研究者によって異なることを指摘したうえで、その内容の概念の問い直しを、イスラムの側からの概念もいれながら再構成しようとする試みといったところでしょうか。あくまで修論要旨を読んで私がまとめたヨウシです。(笑)おかげさまで、院レベルの研究というものが、門外漢の私にも少し理解できるようになってきました。
返信削除発表どうもありがとうございました!
返信削除今年の分もアップしておきました。
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/article.php/2010031416
>katabira no tsujiさん
返信削除息子さん、本当に面白そうな研究されてますね。というか、非常に壮大な研究と言いましょうか…
私自身もイスラームに興味を持っていますが、アフリカのイスラームは決してアラビア半島のイスラームだけではくくりきれません。そして、キリスト教的(ユダヤ教的というのも一部で言えると思うのですが…)な考えに対するおおらかさというのも注目しています。ただ、私の場合は息子さんのように抽象レベルではなく、ベタベタなところから見た感想なのですが…
>Suheyさん
こちらこそお世話様でした。なかなか充実した3日間でした。
URLもどうもありがとうございました。後で拝見します!