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【映画】『焼肉ドラゴン』(監督:鄭義信、出演:真木よう子、井上真央、大泉洋ほか、2018年)

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  アマプラが見られるようになってから、隙間時間はバラエティ番組から映画の時間になりました。この日もアマプラのリストを検索していて目についたのがこの作品。大泉洋と井上真央という、脂ののった役者さんとその両脇を固める見覚えのないお二人…サムネイルから、在日コリアンの話っぽいので、見てみることに。 いわゆる土木事業の労働として朝鮮半島から連れてこられたコリアンたち。コリアンたちは第2次大戦直後からの朝鮮戦争のため、故郷朝鮮半島に帰ることも叶わず、また、長年の日本での生活により生活の基盤が日本にあり、どうしてもすでに離れられなくなってしまい…というウトロでずいぶん伺った背景が描かれる。すでに朝鮮の言葉がつかえなくなっているという、2世、3世問題、さらにコリアンと「日本人」の結婚問題や教育の問題など、異文化間の歪も重要な問題として描かれている。 Wikiで紹介されている監督の鄭義信のコメントも大変興味深い。 「大阪万博の開発にともなう変化を題材に決め、「日本の共同体そのものが崩壊を始めた時代」と捉えていた1970年前後を作品の舞台として、1年間かけて戯曲が執筆された。この時代を描いて当時ヒットしていた『ALWAYS 三丁目の夕日』のアンチテーゼとする事を意識したという。また「在日のコミュニティーは世代を重ねて失われつつあり、遠からず滅びるかもしれない」と考えていた事から、コミュニティーの一つの記録にもなれば、と鄭は語っている。」 なるほど。『三丁目の夕日』と同じ時代なのか…言われてみれば、日本の高度成長期の陽向と日陰のような関係。決して成長への希望のみが時代を満たしていたわけではないことがこの作品を見るとよくわかる。 さらに、在日コリアンの監督ならではの、在日の内側から描いたこの作品の前提も大変勉強になる。 「執筆に先立って万博の開発で消えていった集落なども取材し、実際に訪れた 大阪国際空港 横の 伊丹市 中村地区 がモデルとなり「I空港そばのN地区」を舞台とした。焼肉屋を題材にした点については「寄せ屋(くず鉄屋)、ヘップ(サンダル工場)、焼肉屋は在日コリアンの三大職業のようなもので、小さな焼肉屋を通じて彼らの一端を描ければ、と考えた」と鄭は語っている。姫路城の外堀の石垣にあった鄭の実家が強制撤去された体験なども作中エピソードのベースになっている。」 なるほど…いち...