長い道のり

ここのところ、ずっとオヤジ氏経営の「和が家」に行っていなかったので、久しぶりに顔を見せる。

そこに、パスポートセンターでお会いした日本人ご夫婦が座っていた。お話を聞くと、日本からずっと車とバイクで旅行されているとのこと。ロシアからヨーロッパへ、そしてアフリカへ。5か月ほどかけて旅行されているお二人。旦那さんは関西の大学にお勤めの経験のある歯医者さん。年はオヤジ氏の一つ下だという。旅程も長いが、人生の上でも長い道のりを歩まれてきている。

お二人から砂漠の話を聞いていると、青い布をまとってラクダに乗ったトゥワレグが道なき砂の上を地平線の彼方に消えて行く、という一節があった。想像するだけでわくわくする。イスラームがここに渡ってきたのも、こんな人たちによるはずだ。

ジボで聞いた話。

コーラン学校で学んだ生徒は、その後ワヒグヤOuahigouyaを通り、いくつかのイスラーム都市を通ってジェンネDjenneへと修行の旅を続ける。何度か聞いたこの話。そのたびに、マリのジェンネ近くでイスラームを研究されている坂井信三先生の著作やお話を思い出す。坂井先生はフィールドで、ブルキナベによく出会う、という。

繋がる。

なぜ、ブルキナファソにはモシのイマームがいないのか?なぜ、彼らは移動するのか?そして、都市はどのように彼らに捉えられているのか?

牧畜や商売、宗教、人間を突き動かしてきた様々な営みは今でも営々と生き残っている。間違いなく、都市の問題や近代的な技術を含みこみながら、だが。現代の都市の問題を考えようとするとき、都市が人々の目的地である、と勝手に解釈していたが、未だに、都市は通り道の1点でしかないのかもしれない。都市が呼吸するように、人を吸い込み、吐き出しているのか、と思ったが、これもそうでもないかもしれない。

前回の調査あたりから、なるべく旅行もするようにしている。ボボ・ディウラッソやバンフォラは遊び、程度だったが、それでも、普段見ない景色の中に新たな発見があった。人間が移動した痕は、建物に刻まれたり、人の生活に居残ったりする。

その断片を拾い集めてみると、ご夫妻が見たような、トゥワレグがラクダに乗ってどこに行くのか、が分かるのかもしれない。

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コメント

  1. 「その断片を拾い集めてみると、ご夫妻が見たような、トゥワレグがラクダに乗ってどこに行くのか、が分かるのかもしれない。 」名文ですねえ。今日、思わずこのご夫妻の話を地理Aの授業でしてしまいました。次の授業時にトゥアレグの青いターバンをして行こうかなと思います。(笑)ついでといっては何ですが、ラスタの話もしてしまいました。高校1年生でラスタを知ってるって、ちょっと変ですかね。(笑)オヤジさんによろしくお伝えください。

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  2. >katabira no tsujiさん
    毎度恐れ入ります。
    青いターバンを巻いて授業だったら、さも、タリバンが高校に乗り込んだみたいですね…警察に通報されませんように…
    そして、いつか言い訳をするために授業に参加させていただければ幸いです(笑)。テキトーそうに見えて、ちょっとは考えているんですよ、と言わせてください(笑)。

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