学会発表要旨「ストリートの少年たちとNGO」
5月23日、24日と東京農業大学でアフリカ学会が開催される。不肖、わたくしめも発表させていただくので、こちらの要旨を。
今まで封印していたNGOネタを出すことにした。どんな反応がくるのか楽しみ。
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ストリートの少年たちとNGO:
ブルキナファソ・ワガドゥグにおける青少年の生活とKEOOGOの支援活動の事例
清水 貴夫
日本学術振興会 特別研究員、名古屋大学大学院文学研究科
Street Children/Youths and NGO: the case study on activities of “KEOOGO” and behaviors of the youths in Ouagadougou, Burkina Faso
SHIMIZU, Takao
JSPS Research Fellow/ Graduate School of Letters, University of Nagoya
本発表では、まず、ブルキナファソ・ワガドゥグのストリートチルドレン支援NGO、KEOOGO(ケオーゴ)の活動内容について概観する。次に、KEOOGOのサービスを利用しながらストリート空間を生き抜いているストリートチルドレンの事例を提示する。それにより,ストリートチルドレンとNGOの両義的な関係性とストリートチルドレンのNGOを利用した生活戦略について明らかにする。
アフリカ都市に増加するストリートチルドレンは「都市問題」を象徴し,国際的にも解決すべき問題として注目を集めている。国内外からの移民が多いブルキナファソの首都ワガドゥグでは、NGOやアソシアション(Assosiation)など約100団体が,ストリートチルドレン支援を行っている。KEOOGOをはじめとするNGOは、村落から都市に流入した青少年を村落に帰すことを基本方針として、家族との対話や、身請けのない青少年に宿泊施設,教育,食事の提供をするなどの支援を行っている。
しかし、自身もストリートチルドレンだったKEOOGOの啓発普及員のタセレ・ウェオドラゴ氏は,「アソシアションは増えたのにストリートチルドレンが増えたのはなぜだろう?」という疑問を,日常的に青少年と接する実感からいだいている。タセレ氏の問いは、NGOの支援活動が充実する反面、ストリートチルドレンの数は減少するどころか増加しているという,ワガドゥグの都市問題のシニカルな現状を示している。
タセレ氏の問いを受けて、ストリートチルドレンやNGOに,「青少年がストリートに出奔する/した原因」を聞き取り調査した結果は三点にまとめられる。1点目に、KEOOGOのメンバーによれば、青少年の出奔は多くの場合、コーラン学校に関わりがあるという。2点目に、家族内の不和があげられる。消極的な理由ばかりではなく3点目には,ストリートが青少年たちの「楽しみ」や「遊び」の場であるという積極的な理由も明らかになった。
青少年たちにとってのストリートは,決してつらいだけの場所ではなく,「楽しみ・遊び」の場であり,また,安全を確保できる場でもある。その安全を保証しているのはNGOの支援活動である。青少年たちはNGOの支援活動を前提として、ストリートを彼らの生活空間として捉えているのだ。すなわち、ストリートから青少年たちを引き離そうとするNGOの意図は一定の成果をあげている。しかしその反面、これらの活動は青少年たちがストリートで生きるための都市機能として利用されることで,ストリートチルドレンの数が逆に増加しているという,アンビバレントな現象を生んでいるのである。
今まで封印していたNGOネタを出すことにした。どんな反応がくるのか楽しみ。
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ストリートの少年たちとNGO:
ブルキナファソ・ワガドゥグにおける青少年の生活とKEOOGOの支援活動の事例
清水 貴夫
日本学術振興会 特別研究員、名古屋大学大学院文学研究科
Street Children/Youths and NGO: the case study on activities of “KEOOGO” and behaviors of the youths in Ouagadougou, Burkina Faso
SHIMIZU, Takao
JSPS Research Fellow/ Graduate School of Letters, University of Nagoya
本発表では、まず、ブルキナファソ・ワガドゥグのストリートチルドレン支援NGO、KEOOGO(ケオーゴ)の活動内容について概観する。次に、KEOOGOのサービスを利用しながらストリート空間を生き抜いているストリートチルドレンの事例を提示する。それにより,ストリートチルドレンとNGOの両義的な関係性とストリートチルドレンのNGOを利用した生活戦略について明らかにする。
アフリカ都市に増加するストリートチルドレンは「都市問題」を象徴し,国際的にも解決すべき問題として注目を集めている。国内外からの移民が多いブルキナファソの首都ワガドゥグでは、NGOやアソシアション(Assosiation)など約100団体が,ストリートチルドレン支援を行っている。KEOOGOをはじめとするNGOは、村落から都市に流入した青少年を村落に帰すことを基本方針として、家族との対話や、身請けのない青少年に宿泊施設,教育,食事の提供をするなどの支援を行っている。
しかし、自身もストリートチルドレンだったKEOOGOの啓発普及員のタセレ・ウェオドラゴ氏は,「アソシアションは増えたのにストリートチルドレンが増えたのはなぜだろう?」という疑問を,日常的に青少年と接する実感からいだいている。タセレ氏の問いは、NGOの支援活動が充実する反面、ストリートチルドレンの数は減少するどころか増加しているという,ワガドゥグの都市問題のシニカルな現状を示している。
タセレ氏の問いを受けて、ストリートチルドレンやNGOに,「青少年がストリートに出奔する/した原因」を聞き取り調査した結果は三点にまとめられる。1点目に、KEOOGOのメンバーによれば、青少年の出奔は多くの場合、コーラン学校に関わりがあるという。2点目に、家族内の不和があげられる。消極的な理由ばかりではなく3点目には,ストリートが青少年たちの「楽しみ」や「遊び」の場であるという積極的な理由も明らかになった。
青少年たちにとってのストリートは,決してつらいだけの場所ではなく,「楽しみ・遊び」の場であり,また,安全を確保できる場でもある。その安全を保証しているのはNGOの支援活動である。青少年たちはNGOの支援活動を前提として、ストリートを彼らの生活空間として捉えているのだ。すなわち、ストリートから青少年たちを引き離そうとするNGOの意図は一定の成果をあげている。しかしその反面、これらの活動は青少年たちがストリートで生きるための都市機能として利用されることで,ストリートチルドレンの数が逆に増加しているという,アンビバレントな現象を生んでいるのである。
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