「ローマの教室で~我らの佳き日々~」
久しぶりに映画を見に行こう、と思い立って用事をこなしつつ四条烏丸(京都シネマ)へ。 最近、「これが見たいから…」という選び方で映画を見に行くことが少なくなって、この日空いてるからなんかよさそうな映画ないかな…という選び方になってしまっているのがショボイけど、今回はちょうど学校もの。そしてヨーロッパのもの、となったら、金八先生劣化版みたいな熱血教師ものは見せられないだろうと思い、ちょっと捻くれた学校ものを期待しつつ。 ローマの公立高校を舞台に、三人の教師(校長、老教師、補助教師)を中心に、何人かの生徒(4-F)の生活を交錯させながら描かれる群像劇だ。熱血教師ものの多くのストーリーの作り方として、教師に超越的な立場を与えてしまうことが多いけど、これは【熱血=正義漢】という図式を崩すとストーリーにならないからなのだろう。この映画では、教師にちゃんと人格を与えてやり、それぞれの教師が欠陥をしっかりもっている。母親がいなくなって体育館で寝ていた男の子が風邪をこじらせて入院するが、あからさまにめんどくさがる校長、自殺を企てたり教員同士でのコミュニケーションを取らないやる気のなさそうな老教師、女生徒に入れ込むあまりつい恋心を抱いてしまう(イタリアっぽい)補助教師。もちろん、出てくる生徒たちについても多種多様な問題を抱えている。 この映画を見て、近年、日本では「教育」という学校という制度、施設を舞台にする時、描く対象はいくつかの段階に分かれるのではないかと思った。たとえば、「教育」への問いかけか、制度への問いかけか、はたまた教育現場の今を描くのか。もっとたくさんモーメントがありそうだけど、今の僕の研究に引き付けると、「教育」という人類の営みに問いかけてくれるような映画がいいな、と思った。今日の映画はその意味で面白かった。