アブドゥル揉める。

アブドゥルの声はデカイ。3日ほど前、僕を待っていたアブドゥルがホテルのロビーで挙げた気勢は、200m先でも聞こえただろう(ブルキナファソがアフリカユースカップで初優勝した瞬間)。

今日も資料を取りに行ったりで、朝からアブドゥルに運転をお願いした。

研究所から出ると、端っこで誰かとワーワー言っている。まあ、いつものことか、と放っておく。車の中でも携帯でワーワー。何度も続くので、ちょっといらつき気味に、「何の話?」と聞いてみる。聞けば、僕もよく知っている韓国人P氏となんかやっているらしい。

もめごとはこう。

韓国からテレビ局の人が撮影に来るので車とドライバー、さらに、ドライバーが北の方に住むトワレグに詳しいこと、という条件でアブドゥルにお願いして、アブドゥルは要求通りのドライバーと車を手配した。しかし、今夕着くテレビ局の人を迎えに行くのに付き合え、というのを一生懸命断っていた。

揉めそうもないところで揉める。向こうとしては、一緒に飲もうぜ、くらいの勢いで、それを懸命に断るアブドゥル。悪いのは彼の断り方で、「忙しい」の一点張り。「僕と仕事をしている」と言えば一言で方がつくのに…と言っても分からない。

そして電話が終わるとしきりに怒る。愚痴をこぼされる。気分が悪い。

ここに出てくる、アブドゥル、P氏、僕とオヤジ氏のネットワークの中の人間。隠す必要もないし、別にアブドゥルが儲かっていても誰もなんにも言わない。なんでアブドゥルがこんな行動をとるのか、残すはそういう性向なんだろう、ということくらい。

昼、別れ際に、ちゃんとP氏に説明しておいて、と言い残して分かれた。しかし、きっと言わないだろう、と思い、そして、非常に理知的なP氏と関係がこじれるのもなんなので、こちらから電話して事情を説明する。P氏もなんでアブドゥルがそれを言わんのか、と激こうする。
午後。彼に聞く。「ちゃんと電話した?」
「うん。したした。」


「なんて言ってた?」

「むにゃむにゃ…」(やっぱり電話していない)

「なんか僕と仕事をするのはまずい?やりたくなければここで降りるので結構。おカネもすぐに払うから、勝手にどうぞ。そして、僕は彼と関係をこじらせたくないので、電話しました。P氏もあなたに怒っていました。あなたも知っているように、P氏とは仲の良い友人だし、僕がちゃんとしたミッションで来ているのも知っています。なぜ隠すのか意味がわからない。」

アフリカにいながら、アジアの荒波に揉まれるアブドゥル。ちょっとかわいそうだったけど、普段いろいろ聞いてやっているのでたまにはピシッと。

コメント

  1. 荒熊さん、体調が戻ってきたようで良かったですね。この話、アブさん、P氏、オヤジ氏と登場人物を知っている私としては面白く読ませてもらいました。

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  2. >katabira no tsujiさま
    いつもながらドタバタです。でも、アブドゥルも自分で事務所が持てるようになったり、ちょっとずつ状況も良くなっています。オヤジ氏も相変わらず元気ですし。

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